演題

PP7-4

安全で再発させない腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)のための留意点

[演者] 秋月 恵美:1
[著者] 沖田 憲司:1, 植木 知身:1, 西館 敏彦:1, 河野 剛:1, 石井 雅之:1, 古畑 智久:1, 竹政 伊知朗:1
1:札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座

<背景>
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal repair:TAPP)のメリットは腹腔内からの観察によるヘルニア門の正確な診断および十分なマージンを確保したメッシュ留置,腹壁破壊を最小限にとどめた修復が可能なことであるが,最近の報告では再発率は鼠径部切開法より低いとはいえず,さらに全身麻酔を要し,手術時間が長いデメリットもある.本手術を施行する際には適応症例の選択,および再発率を最小限にするための手術手技が重要と考えている.当科では2013年よりTAPPを開始し,現在では鼠径ヘルニア修復術の第一選択はTAPPとしているが,全身麻酔不可症例や腹膜前腔手術既往症例(経尿道を除く膀胱・前立腺手術など)には鼠径部切開法を施行している.
<目的>
1)TAPP治療成績から手術適応の妥当性を評価する.2)再発をしないためのTAPP手術の留意点を提示する.
<対象> 2013年から2016年の鼠径ヘルニア手術症例135例のうちTAPP80例.
<結果>
TAPPは片側 66例,両側14例(17.5%).手術時間は片側122分(60-210),両側206分(157-227),術中出血量3ml(0-35),術中合併症なし.術後在院日数6日(4-16).術後合併症は漿液腫3例,再発症例はない(最長観察期間は3年).
<TAPPの留意点>
腹膜剝離範囲は内側を正中まで,外側を上前腸骨棘まで,腹側をヘルニア門上縁から3cm腹側まで,背側を臍動脈が精管と交叉するまでとしている.メッシュは13×9cmを基本とし,ヘルニア門外周3cmおよびMyopectineal orfice(MPO)を十分被覆し,なおかつメッシュが腹壁に密着し辺縁の折りかえりがない状態となることを重視している.両側症例では正中で左右のメッシュを1cm以上オーバーラップさせている.また,ヘルニア門が大きい症例や大腿ヘルニアでは背側のメッシュの固定性を重視しセルフグリップメッシュを使用している.
<結語> TAPPは除外症例を明らかにすることで安全に施行可能であり,腹膜剝離とメッシュの被覆範囲を定型化することが再発予防につながる.
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