演題

PP7-2

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術における新しいメルクマール:当院における実際と工夫

[演者] 久保田 竜生:1
[著者] 宮成 信友:1, 上村 紀雄:1, 伊東山 瑠美:1, 清水 健次:1, 杉原 栄孝:1, 岩上 志朗:1, 水元 孝郎:1, 芳賀 克夫:1, 馬場 秀夫:2
1:熊本医療センター 外科, 2:熊本大学大学院 消化器外科学

TransAbdominal Pre-Peritoneal repair(以下,TAPP法)は腹腔鏡による観察で解剖学的構造の理解が容易となり,メッシュの展開,固定を直観的に行うことができる.このことから,より適切な場所にメッシュを固定できるものと考えている.また不顕性の対側ヘルニア,もしくは大腿へルニアなども診断可能であり,鏡視下手術のメリットである整容性,術後疼痛の軽減も期待できる.以上のような利点があるため当科では2014年の4月より導入を開始し,2016年11月までに198病変,176症例を経験した.術後合併症はとしては,術後血腫,水腫が13例(7.9%)と比較的多くみられ,術後創部SSIを9例(5.1%)であった.再発は1例を経験した.
鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015では,"手技に十分習熟した外科医が実施する場合には,腹腔鏡下ヘルニア修復術は推奨できる."としている.TAPP法においては現在,メッシュの大きさなどの技術的な要件について徐々に明らかにされているが,いまだ施設により手技のばらつきが多くみられる.剥離範囲,メッシュの大きさ,固定位置などは術者に依る部分も多い.当科においても導入以降,情報収集と検討を重ねることにより手技の変遷を経験している.また当科では比較的短期に外科レジデントの移動が行われるため,TAPP法習熟のためには手技の定型化,解剖の理解,病態の把握などに十分なメルクマールが必要となっている.このため我々はTAPP法における要点の把握として,臍動脈と精管の交差部のなすV字形の切痕に対し十分な確認,剥離を行うことを推奨し実践している.多くの外鼠径へルニア症例ではヘルニア門内側付近,すなわち下腹壁動脈に接し精管とおりなす滑車付近において,腹膜は硬くなっておりそのさらに内側の臍ひだに強く癒着している場合がある.この際に精管を確認し温存することは重要であり,解剖を理解することでクーパー靭帯内側にいたる疎な組織間隙への侵入が容易となる.またこれより腹側への剥離層が明瞭化するメリットが生じる.またこの交差部はメッシュ位置の背側高度の下限となり確認が必要である.
当科におけるヘルニア手術の実際について報告し,我々の工夫,新しいメルクマールについてビデオで供覧する.
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