演題

PO9-6

膨潤麻酔下鼡径ヘルニア手術症例(鼡径法)における再発症例,合併症の検討

[演者] 長尾 厚樹:1
[著者] 風見 由祐:1, 関澤 健太郎:1, 佐藤 彰一:1, 渡邉 一輝:1, 里館 均:1, 奈良 智之:1, 古嶋 薫:1, 針原 康:1, 伊藤 契:2
1:NTT東日本関東病院 外科, 2:三楽病院 外科

【はじめに】2012年1月から2016年12月の4年間で施行した鼡径ヘルニアの手術症例993例(抗血栓薬服用症例は169例)を検討した.手術は基本的に膨潤麻酔による局所麻酔下に鼡径法で行い,メッシュはUHSまたはUPPを用いた.再発症例は50例【当院手術例:16例(1.6%),他院手術例:34例】,合併症は14例【メッシュ感染:2例,血腫(退院延期,再入院,外来フォロー等を要したもの):7例,seroma(穿刺等の処置を施したもの):5例】であった.
【結果】再発症例50例の検討では,年齢は37歳から91歳,男性が45例,女性が5例であった.再発までの期間は確認できた範囲で最短3か月,最長では50年以上経過した再発例も認められた.前回の手術方法は従来法(小児期のPotts法を含む)が30例,ダイレクトクーゲルパッチ(DK)が9例,メッシュプラグが2例,UHSが8例,腹腔鏡下鼡径ヘルニア手術が1例であった.また再発形式は外鼡径ヘルニア(Ⅰ型)が31例,内鼡径ヘルニア(Ⅱ型)が14例,内鼡径と外鼡径ヘルニアの混合(Ⅳ型)が5例であった.手術における麻酔法は,全身麻酔が1例(陥頓症例),腰椎麻酔が1例(還納不十分),その他はすべて膨潤麻酔による局所麻酔であった.術式はすべて鼡径法で行い,DK:3例,UPP-S:4例,UPP-M:28例,UHS-M:2例,UHS-L:13例であった.術後の経過は良好で全例合併症なく退院し,術後の再々発は今のところ認めていない.
合併症14例の検討では,メッシュ感染2例のうち,1例はドレナージで軽快したが,もう1例は腰椎麻酔下にメッシュ除去術を行った.血腫を認めた7例のうち,5例(5 / 7例:71.4%)が抗血栓薬服用患者であり,抗血栓薬服用患者全体でみると5 / 169例:2.9%であった.
【考察】再発症例は,前回手術にメッシュを用いていない症例は腹膜前腔剥離が可能なためUHSを,メッシュを用いている症例は癒着により腹膜前腔の十分な剥離が行えずUPPを使用する症例が多かったが,いずれも膨潤麻酔で安全に行えた.
また,近年では脳及び心臓疾患に対して抗血栓薬を服用している患者が増加してきたが,膨潤麻酔による手術は初発 / 再発症例を問わず非常に有用な術式と考えられる.一方,抗血栓薬に対する周術期管理に関しては未だ一定の見解が得られておらず,休薬期間や術後の内服再開の時期に関しては検討の余地があると考えられた.当科で経験した鼡径ヘルニア手術症例を治療法やその手技と共に報告する.
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