演題

PO9-5

嵌頓鼠径ヘルニアは,Seromaのリスク因子である

[演者] 松本 龍:1
[著者] 長久 吉雄:1, 橋田 和樹:1, 横田 満:1, 大目 祐介:1, 山口 和盛:1, 岡部 道雄:1, 朴 泰範:1, 河本 和幸:1
1:倉敷中央病院 外科

【はじめに】TAPPにおいて術後漿液腫(seroma)は3-11%程度と高頻度で発生する合併症である.術後に液体貯溜するスペースが残存することが最大の発生原因とされるが,腹膜の剥離操作やメッシュに伴う局所炎症も原因の一つと報告されている.経過観察のみで改善することが多いが,退院後の外来受診回数・穿刺処置よるメッシュ感染のリスク・患者の不安の増加に繋がる病態である.その予防法に関してさまざまな研究・考察が行われてきたがまだその発生機序は明らかではない.一方,嵌頓ヘルニアは我々が日常診療でしばしば遭遇し,用手還納ができない場合は緊急手術が必要となる.嵌頓ヘルニア患者は,局所に強い疼痛を訴え,膨隆部分では強い炎症が生じている.また早期手術や緊急手術ではこれらの炎症の極期に加療することになり,seromaがより誘発される可能性がある.当院では嵌頓症例に対してもTAPPを第一選択としている.そこで今回,当院のTAPP症例を後方視的に解析し,seromaのリスク因子を検討するとともに嵌頓ヘルニアとの関連についても検討した.
【対象と方法】2013年4月から2016年9月までに当院で実施したTAPP250症例(300病変)の内,同時手術症例などを除く226病変を対象とした. Seromaのリスク因子に関して後方視的に解析した.術後1週間の時点で鼠径部に膨隆を認めた症例を画像検査(超音波検査またはCT検査)にて評価し液体の貯溜を認めたものをSeroma,嵌頓ヘルニアの診断から48時間以内に手術を実施した症例を嵌頓ヘルニアとそれぞれ定義した.
【結果】226例のうち26例(11.5%)でseromaの発生を認め,再発は2例(0.8%)であった.嵌頓ヘルニア症例ではSeromaの発生が33%と高率であり,嵌頓ヘルニアがSeromaのリスク因子(のひとつ)として挙げられた(p<0.05).
【結語】嵌頓ヘルニアに対してTAPPを行う場合,術後のseroma発生に対して留意する必要があり,手技的な工夫が必要と考えられた.
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