演題

PO9-1

成人鼠径部ヘルニア待機手術における抗血栓療法施行例の周術期管理

[演者] 村山 実:1,2
[著者] 中島 修:1, 山崎 勝雄:1, 小泉 和雄:1, 横溝 肇:2, 塩澤 俊一:2, 吉松 和彦:2, 島川 武:2, 勝部 隆男:2, 成高 義彦:2
1:いずみ記念病院 外科, 2:東京女子医科大学東医療センター 外科

【目的】消化器外科手術において,併存疾患により抗血栓療法が行われている症例は術後出血及び血栓症による重篤な後遺症のリスクが懸念され,慎重な周術期管理を要する.成人鼠径部ヘルニアに対する待機手術に於いても,抗血栓療法が行われている症例が増加している.成人鼠径部ヘルニア待機手術自験例の抗血栓療法施行例の周術期管理についてretrospectiveに検討した【対象と方法】2010年4月~2016年11月の成人鼠径部ヘルニア待機手術自験例159例171病変について,併存疾患により抗血栓療法が施行されていた34病変をA群,抗血栓療法非施行の137病変をN群に分け比較検討した.検討項目は患者背景(性別,年齢,泌尿器科手術既往),病変因子(左右,日本ヘルニア学会分類,初発/再発), 手術因子(術式,手術時間),術後合併症(皮下血腫,漿液腫,再手術を要する術後出血,慢性疼痛,血栓症),根治性についてみた.また,抗血栓療法施行例については同療法を要する併存疾患,抗血栓療法の内容,周術期の扱いについてみた.尚,周術期の抗血栓療法の扱いについては同療法を要する併存疾患治療担当医の指示に従った.【結果】患者背景では年齢がA群76歳,N群71歳(p=0.0001)で差を認め,病変因子では差を認めなかった.術式はA群でMesh Plug法11,Preperitoneal Repair法23,N群各4,133(p<0.0001)で,A群で腹膜前腹腔の剥離範囲の少ないMesh Plug法が多く行われていた.手術時間はA群84分,N群91分で差を認めなかった.皮下血腫はA群1,N群3,漿液腫各0,1で差を認めなかった.再手術を要する血腫はN群の1例で認められた.両群で慢性疼痛及び血栓症は認めず,再発を認めなかった.抗血栓療法を要する併存疾患は脳血管障害17,循環器14(不整脈11,虚血性心疾患1,IVR後人工物留置2,閉塞性動脈硬化症1),脊柱管狭窄症3,静脈血栓塞栓症後2だった(重複あり).抗血栓療法は抗血小板薬単剤23,同多剤併用1,抗凝固療法9,抗血小板薬抗凝固療法併用が1だった.周術期の扱いについては休薬22,ヘパリン化9,継続3 (静脈血栓塞栓症後2,冠動脈ステント留置後1)だった.【結語】成人鼠径部ヘルニア待機手術の抗血栓療法施行例は,非施行例に比べより高齢であったが,慎重な術式選択と周術期管理により重篤な合併症は認めず,根治的治療を行えるものと考えられた.
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