演題

PO8-7

腹腔鏡手術手技向上を目指したトレーニングシステムの導入

[演者] 本田 晶子:1
[著者] 岡田 一幸:1, 雪本 龍平:1, 徳山 信嗣:1, 斎藤 明菜:1, 小西 健:1, 太田 英夫:1, 横山 茂和:1, 三木 宏文:1, 小林 研二:1
1:兵庫県立西宮病院 外科

今日消化器領域における様々な疾患において,腹腔鏡手術が行われている.若手外科医においても腹腔鏡手術手技の修練は必要不可欠であり,レジデント時代から臨床経験を積む必要がある.しかし,腹腔鏡手術手技のトレーニング方法について確立されたものはない.当院では,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(以下TAPP)をモデルとして,外科レジデントを対象に,腹腔鏡手術手技のトレーニングを考案し,実践している.その内容につき報告する.
TAPPは腹腔鏡手術手技の基本である切開,剥離,縫合を必要とし,有用なトレーニングになるのではないかと判断し選択した.TAPPの過程のうち,第一段階:腹膜縫合閉鎖,第二段階:メッシュスペースの剥離,第三段階:メッシュ固定とし,手技到達度を自己採点し,10点以上で次の段階に移行できるシステムとした.採点項目として,解剖把握,優位鉗子の動き,非優位鉗子の協調運動,空間把握(立体視),指導医介入の5項目について,各項目につき1~3点で自己評価する.今回,トレーニングは当院の外科レジデント4名を対象とした.
半年間での経験症例は最多で8例,最少で3例だった.観察期間内に第二段階に移行できたレジデントはいなかったが,解剖把握,指導医の介入については開始早期から症例数に比例した上達が認められた.優位鉗子の動きや非優位鉗子の協調運動においては,5症例程度で一定のレベルには達するが,維持することは難しく,さらなる継続した修練が必要と考えられた.中でも空間把握(立体視)については,どのレジデントにおいても習得が難しく,十分な腹腔鏡下での手技経験が必要と考えられた.
このトレーニングシステムで手術の工程を細分化し目標を定めることで,レジデントは各々の欠点を明確としドライボックスでのトレーニングをより効率的なものとすることができ,さらに手技の観察力や着眼点も養うことができた.継続的な取り組みでより一層手技を磨くことができると考えられた.
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術をモデルに腹腔鏡手術手技トレーニングを考案し,実施した.手術手技を複数のカテゴリーで評価することでラーニングカーブの推移を把握することができた.さらなるデータ蓄積を行い,解析・検討および修正を加えることで,より効率的なトレーニングシステムが確立できるのではないかと考えられた.
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