演題

PO7-3

当院における鼠径部ヘルニア症例の検討

[演者] 野田 昌宏:1
[著者] 柳 政行:1, 樋渡 啓生:1, 吉川 弘太:1, 本高 浩徐:1, 九玉 輝明:1, 坂元 昭彦:1, 中村 登:1, 濵田 信男:1
1:鹿児島市立病院 外科

【はじめに】
当院では年間約140例の鼠径ヘルニア手術を行っており,腹腔鏡での修復はTAPP法を選択している.
【対象と方法】
平成27年5月~平成28年11月に当院で鼠径ヘルニア・大腿ヘルニアの診断で手術を行った207例のうち,メッシュによる修復を行った196例・230病変に対して術式・手術時間・術後在院日数・合併症の有無などについて後ろ向きに検討した.
【結果】
平均年齢66歳,男性162例(82.7%),術式は前方アプローチ法81例,TAPP法,114例,両者併用のハイブリッド法1例が行われた.平均手術時間は片側症例で前方アプローチ90分,TAPP法で140分.術後在院日数は平均3.5日で前方アプローチとTAPP法で差はなかった.合併症は19例(9.7%)で認められ,疼痛(術後1ヶ月で鎮痛薬を必要とするもの)6例,漿液腫(術後1ヶ月後診察で認められるもの)7例に認められた.いずれも前方アプローチとTAPP
に差はなかった.SSI(臍部)が2例,再発が3例(前方アプローチ1例,TAPP2例)に認められた.手術手技に起因する再発の1症例を提示する.
【症例】
78歳男性.2年前に鼠径部の膨隆を自覚し当院受診.左鼠径ヘルニアの術前診断でTAPP法を行った.JHSⅡ-3(ヘルニア門約3.5cm)と診断した.チタンコーティングメッシュextra light typeを用いて修復を行った.手術時間71分.術後3日目に明らかな再発を認め,術後4日目に再手術を行った.小腸に押されてメッシュの背側が腹膜ごとヘルニア門内に陥入している所見であった.原因は,Cooper靭帯よりもやや内側の恥骨にタッキングされたことにより,背側の補強が不十分となっていたためであった.陥入した同メッシュを再度展開し,Cooper靭帯にタッキングして修復を行った.再手術後は再発なく経過した.
【考察】
当院の鼠径部ヘルニアにおいて前方アプローチ法とTAPP法で合併症に明らかな差は認められなかった.手術時間はTAPP法で長い傾向にあったが,術者によるばらつきが多く,手技の習熟により短縮可能と考えられた.提示した再発の1例は明らかに手技に関連した早期再発であり,メッシュの選択や手術手技において反省すべき1例といえた.観察期間も短いためさらなる観察,発展が必要であると考えられた.
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