演題

PO7-2

当院での腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術と前方アプローチ法の比較検討

[演者] 出村 嘉隆:1
[著者] 森下 実:1, 荒能 義彦:1, 飯田 茂穂:1
1:北陸病院 外科

【はじめに】当院では,2014年7月より腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP) を本格的に導入している.TAPP と前方アプローチ法との比較検討成績を報告する.【対象と方法】対象は,2011年2月1日から2016年11月30日までの,鼠径ヘルニアに対して修復術を施行した173例,188病変である.術式別に,手術時間,術後在院日数,合併症,鎮痛薬の使用期間の検討を行った.【結果】ヘルニアの罹患側は,左側76例,右側82例,両側15例であった.異時両側例5例,再発症例8例であった.188病変中,外鼠径ヘルニア131例,内鼠径ヘルニア56例,併存型1例であった.術式別に,片側Plug法83例,片側腹膜前修復法30例,片側腹腔鏡下手術41例,片側Bilayer法4例.両側前方アプローチ法6例,両側腹腔鏡下手術9例であった.併施手術のある12例を除く,平均手術時間/平均術後在院日数は,片側Plug法64.4分/5.0日,片側腹膜前修復法68.8分/4.6日,片側腹腔鏡下手術104.1分/4.7日,片側Bilayer法97.5分/6.3日,両側前方アプローチ法134.2分/5.6日,両側腹腔鏡下手術163.5分/5.1日であった.術後合併症では,漿液腫は,Plug法3/83例(3.6%),腹膜前修復法2/30例(6.7%),腹腔鏡下手術4/41例(9.8%)で認めた.術後再発は,Plug法2例(2.2%)に認めた(ヘルニア分類:I-3 1例,II-3 1例).術後経過日数(1-7日/8-30日/31日-)での鎮痛薬の処方頻度は,片側Plug法では,58例(69.9%)/6例(7.2%)/1例(1.1%),片側腹膜前修復法では,20例(66.7%)/1例(3.3%)/0例(0.0%),片側腹腔鏡下手術では,35例(85.4%)/2例(4.9%)/0例(0.0%),片側Bilayer法では,3例(75.0%)/1例(25.0%)/0例(0.0%),両側前方アプローチ法では,5例(83.3%)/1例(16.7%)/0例(0.0%),両側腹腔鏡下手術では,8例(88.9%)/0例(0.0%)/0例(0.0%)であった.慢性疼痛(術後6か月以上の疼痛継続)は,Plug法1例(1.1%)で認めた.【考察】再発例は,いずれもヘルニア門の大きい症例にPlug法を施行されており,腹膜前修復法,腹腔鏡下手術などの腹膜前腔に広くメッシュを留置する術式で,再発を予防できたと思われる.術後鎮痛について,1か月以内の術後疼痛に術式による差異は認められない.しかしながらPlug法では1例に慢性疼痛を認め,やはりメッシュによる神経損傷が原因と考えられることから,慢性疼痛の予防という点においても,腹膜前腔にメッシュを留置する腹膜前修復法,腹腔鏡下手術は有用であると考えられる.
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