演題

PD04-4

当科における肝切除リスク評価と腹腔鏡下肝切除への応用

[演者] 速水 晋也:1
[著者] 上野 昌樹:1, 川井 学:1, 廣野 誠子:1, 岡田 健一:1, 宮澤 基樹:1, 清水 敦史:1, 北畑 裕司:1, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学附属病院 消化器外科・内分泌・小児外科

【はじめに】2016年4月に腹腔鏡肝切除は全ての術式において保険収載され,当科でも亜区域切除以上の腹腔鏡下肝切除を導入,その件数は増加している.腹腔鏡手術は低侵襲と言われるが,術後肝予備能に対する影響は明らかではない.今回当科が採用している術後肝不全予測式を紹介し,腹腔鏡手術に対する安全性を検討する.
【対象と方法】 当科では2種類の予測式を使用しており,
"Wakayama index"= 164.8 - 0.58 × (アルブミン [g/dl]) - 1.07 × (ヘパプラスチンテスト[%]) + 0.062 × (AST[IU/l]) - 685 × (ICG-K値) - 3.57 × (OGTT. LI) + 0.074 x (予測残肝体積[ml])
および2区域以上の肝切除の際には,
"HA index"=4.15 + 0.03 × (ヒアルロン酸[ng/ml]) - 0.16 × (予想残肝率[%])
も併用して手術術式の妥当性を評価している.今回HA indexのvalidationとして,2001年から2015年において,当科で右葉切除を施行した59例を用い,HA indexの診断精度を解析した.また腹腔鏡手術は2008年の導入以降165例に対し施行したが,術式決定においてはWakayama index を用いてリスクを判定した.腹腔鏡手術との安全性比較として,導入以前の開腹肝部分切除術93例を対象とした.
【結果】開腹右葉切除においてHA indexを導入後,grade B・Cの肝不全は,31%から11%に低下し,正確に術後肝不全を予測しリスクを軽減しえた.一方腹腔鏡下肝切除における安全性としては,GradeIIIA以上の合併症を8例(4.8%)に認めたが,術後肝不全および術死は認めなかった.胸腹水症例は開腹部分切除群が3例(3.2%),腹腔鏡群では認めなかった.2016年4月の保険収載以降,3例の左葉切除・5例の亜区域切除術を施行しているが,開腹同様に当科の予測式を適応し,術後肝不全は認めず,いずれも安全に施行しえた.
【考察】葉切除以上の肝切除術を安全に施行するためには,術後肝不全を起こさない周術期管理,すなわち肝機能に見合った十分な残肝体積が必要である.HA indexは葉切除以上のリスク評価が可能であり,術式を検討することで,安全に肝切除が施行可能であった.また現段階少数ではあるが腹腔鏡下葉切除も導入しており,当科では開腹術と同様に,HA indexを遵守して手術適応を考慮していく方針に変更はない.
【結語】HA indexは葉切除以上の術後肝不全予測が可能であり,安全な肝切除に貢献しており,腹腔鏡手術の手術適応決定にも有用であると考えられた.
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