演題

PN9-7

当院における急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢亜全摘術症例の検討

[演者] 杉田 浩章:1
[著者] 寺田 卓郎:1, 俵 広樹:1, 奥出 輝夫:1, 島田 雅也:1, 斎藤 健一郎:1, 天谷 奨:1, 高嶋 吉浩:1, 宗本 義則:1, 三井 毅:1
1:福井県済生会病院 外科

【緒言】近年,腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応は拡大しており,従来は開腹で行われていた高度の炎症を伴った急性胆嚢炎に対する施行症例数も増加している.しかし,その難易度は高く,特に炎症や癒着によりCalot三角の線維化が高度で剥離困難・解剖の把握が困難な症例では,開腹移行率や胆管損傷などの重篤な合併症の発症率が高い傾向にある.今回われわれは,急性胆嚢炎に対して,高度炎症によりCalot三角の剥離が困難であったため,胆嚢頚部を腹腔鏡下で切離した腹腔鏡下胆嚢亜全摘術症例を検討し,その手術成績につき報告する.【対象】2010年10月から2016年12月までに当院で急性胆嚢炎に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した112例のうち(開腹移行は10例),腹腔鏡下胆嚢亜全摘術を施行した7例.【結果】年齢は44-83歳,7例全例が男性.発症から手術までの期間は1-17日で2例に術前にENGBDまたはPTGBDによるドレナージが施行された.術前CRPは0.19-28.27mg/dlで,3例に術前に胆嚢頚部・胆嚢管に結石の嵌頓を認めた.術中に胆管損傷などの重大な副損傷は1例も認めず,頚部の切離は全例endoscopic linear stapler(以下,ELS)を使用した.手術時間は平均130.5±18.7分,出血量は61.5±74g,術後在院日数は6.5±1.6日であった.術後の出血・胆汁瘻は1例も認めなかった.観察期間中において,術後10ヶ月後に遺残胆嚢炎を発症した1例を認めた.【考察】Calot三角の剥離や解剖の把握が困難な急性胆嚢炎症例において,胆嚢亜全摘術を施行することで胆管損傷などの重大な術中合併症を生ずることなく腹腔鏡下手術の完遂が可能であった.われわれの経験した症例においては,術後早期の合併症の発症や術後在院期間の大幅な延長も認めず,低侵襲性の維持に有用であったと考える.【結語】急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢亜全摘術は術中合併症の回避と低侵襲性の維持に有用であると考える.しかし,遺残胆嚢炎や遺残結石が誘因となる合併症発症の可能性もあり,慎重な経過観察が必要である.
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