演題

PN9-3

消化器術後の周術期における偽痛風発作の検討

[演者] 竹山 照明:1
[著者] 岡田 嶺:1, 澤口 悠子:1, 三浦 康之:1, 久保田 喜久:1, 片桐 敏雄:1, 前田 徹也:1, 土屋 勝:1, 大塚 由一郎:1, 金子 弘真:1
1:東邦大学医療センター大森病院 消化器センター(外科)

偽痛風はcalcium pyyoophosphate dehydrate(以下CDDPと略す)血症沈着症と呼ばれ,急性,慢性炎症,骨関節破壊など多彩な症状,複雑な病態を示す疾患である.RyanらはCPPD結晶沈着症の病型を①高齢者に多発する特発性,②副甲状腺機能亢進症,低マグネシウム血症などに合併する代謝性,③常染色体優性遺伝で,若年発症する家族性,④外傷・手術に続発するもの,の4つに分類している.外傷・手術に続発するものについては,岡田らは整形外科手術,特に偽痛風のある人工関節置換術後に,手術後の急激な血清Ca濃度の低下により手術野の残存していた組織や他の関節組織に沈着していたCPPD結晶塊からcrystal sheddingによる結晶が関節内に流出するために偽痛風発作が起きやすいとされている.またO'Duffyは腹部や胸部のmajor operation 後に血清Ca濃度が約11%低下することから,CPPD結晶が急激な低Ca血症に反応して沈着組織から関節内に放出されることが発作の誘因になることとの報告がある.
今回,われわれが経験した1症例を提示する.症例は68歳女性で主訴は吐血で受診された.精査の結果,膵尾部の嚢胞性病変とそれによる脾静脈の閉塞による左側門脈圧亢進症で胃静脈瘤を合併したものと診断した.そのために腹腔鏡下での膵尾部切除とHassab手術を行った.術後の経過は良好であったが,第3病日に38℃台の発熱と右膝関節の腫脹と疼痛を認めた.整形外科にて関節穿刺を行ったところ,黄色混濁した関節液を採取し,CPPD結晶を認めたために偽痛風の診断となった.偽痛風の治療としてはNSAIDsの内服を行った.この症例は右変形性膝関節症と右膝関節偽痛風の既往があった.また術後に急激な血清Ca濃度の低下を補正計算上は認めなかったが,血清アルブミン値が4.1g/dlから2.6g/dlに低下していることからイオン化カルシウム濃度の低下があり,それが発症の誘因になった可能性が推測された.
偽痛風発作は消化器術後に発症しうる疾患であるが,その概念がなければ周術期管理においてpitfallと言えると思われた.
今回われられは消化器術後の周術期における偽痛風発作を発症した症例を3例経験した.これらを集計し,文献的考察を行い報告する.
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