演題

PN9-1

ミトタンが奏功し,切除しえた再発副腎皮質癌の1例

[演者] 草間 啓:1
[著者] 袖山 治嗣:1, 細田 清隆:1, 町田 泰一:1, 西尾 秋人:1, 中田 伸司:1
1:長野赤十字病院 外科

【はじめに】副腎皮質癌は極めてまれな疾患であり,100万人に1~2人の発生率とされている.今回,我々は左副腎皮質癌摘出術後の局所再発に対し,ミトタン内服による腫瘍縮小効果が得られ,切除し得た症例を経験したので報告する.【症例】20代,男性.2012年11月から目のかすみや頭痛を自覚するようになり,2013年2月当院受診.精査の結果,10cm大の左副腎腫瘍およびCushing症候群と診断された.同年4月左副腎,左腎摘出術を当院泌尿器科で施行,病理検査の結果,副腎皮質癌と診断された.補助化学療法は希望されず,経過観察となっていたが,2015年10月腹部CTで左横隔膜直下に2cm大の腫瘤を指摘され,当科紹介となった.腹部MRI,FDG-PET検査では肝転移等の遠隔転移はないものの,再発腫瘍径が4cm大まで増大し,横隔膜や胃壁と広範に接しており浸潤の可能性が示唆されたため,エトポシド,ドキソルビシン,シスプラチンによるEDP療法導入を検討したが,本人の希望がなく,6月から,ミトタン内服療法を0.5g/日より開始した.ミトタン内服療法開始後2か月後,5cmまで腫瘍が増大したため,5g/日まで増量し,その後,2か月で腫瘍径は2.5cmまで縮小した.FDG-PET検査で再発腫瘤にはSUVmax 4.6の異常集積を認めたが,遠隔転移は認めなかった.手術に同意が得られたため,11月に再発腫瘤の摘出術を施行した.前回手術と同様の左肋弓下切開で開腹した.腫瘤は3cm大で胃壁への直接浸潤はなく,被膜に覆われ,横隔膜への浸潤も否定できなかったため,横隔膜合併切除を施行した.術後経過は良好で第7病日に退院.現在,ミトタンによる補助化学療法を3g/日から開始し,外来通院中である.【まとめ】副腎皮質癌は極めてまれな疾患であり,大規模研究が少なく標準的治療がいまだ確立しておらず,現時点では外科的治療が最も優れた根治療法とされている.本症例で投与したミトタンは副腎皮質癌のkey drugであるが,消化管や神経障害などの多種多様な有害事象が発生するため,慎重な投与が必要とされている.しかしミトタン内服による補助化学療法が再発のリスクを有意に減少するとの報告があり,高い再発率に注意しながら厳重に経過観察する必要があると考えられた.
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