演題

PN8-4

治療内容・入院期間からみた急性腹症に対するDPC制度の問題点

[演者] 伊藤 嘉智:1
[著者] 吉松 和彦:1, 小池 太郎:1, 浅香 晋一:1, 今泉 理枝:1, 佐野 恵美:1, 上原 咲恵子:1
1:済生会栗橋病院 外科

【はじめに】DPC制度では,疾病ごとに予め設定された入院期間に基づいて治療し診療報酬を得ている.急性腹症に対する緊急手術症例では周術期合併症などにより検査や投薬などのコスト増大や入院期間の延長のため,投入した医療コストに対して見合った収益が得られるか注意が必要である.そこで当科における急性腹症手術症例の入院期間と収益につき検証した.
【対象と方法及び結果】対象は2015年4月から2016年3月までに急性腹症として緊急手術を施行した95例である.DPCの設定入院期間Ⅰ~Ⅲ内に退院したものは,Ⅰ群5例,Ⅱ群48例,Ⅲ群36例でⅢを超えたものが6例であった.
これらをDPCで定められた金額(診療報酬点数×10円)から出来高相当分を差し引いたものを収益として算出したところ,減収(赤字)となったものはⅡ期間までに退院となった症例53例のうち24例であった.
内訳はⅠ群で増収(黒字)1例,減収4例となり減収額は平均198680円であった.Ⅱ群では増収28例,減収20例で減収額は平均38662円であった.Ⅲ群では増収12例,減収24例で減収額は平均94822円であった.
周術期合併症との関連は,減収症例でⅠ群の大腸穿孔術後死亡1例,Ⅱ群で胆嚢炎術後の胆汁漏1例および術後イレウス1例があったが,合併症による影響は小さいものであった.
Ⅱ群ではⅡ期間途中での退院が14例あり,これらがⅡ期間を十分に満たせば得られた見込み収益は平均62756円あった.さらにⅡ期間までの満期入院で減収を避けられたものが9例みられた.
DPCでは適切な治療期間としてⅡ期間での入院加療を目指しているが一方で,Ⅱ期間満期で退院したにもかかわらず減収となったのが6例あった.内訳は虫垂炎4例,胆嚢炎1例,総胆管結石+胆管炎1例であり全例合併症なく軽快退院していた.
【考察】現行の制度では入院Ⅱ期間を十分に活用した入院加療が収益面で重要とされる.急性腹症例では不必要な検査や入院を避けるのは当然であるが,Ⅱ期間での退院でも減収となる場合を認めたことも含め,急性腹症治療にあたる医療者側のモチベーションを下げないためにも適正なDPC点数の検討が必要と思われる.
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