演題

PN7-6

水素ガスの免疫学的効果

[演者] 赤木 純児:1
[著者] 村野 武志:1, 小森 宏之:1, 岡本 喜雄:1, 馬場 秀夫:2
1:玉名地域保健医療センター 外科, 2:熊本大学附属病院 消化器外科

【目的】【方法】CD8+ effector細胞は,early-diff. CD8+ T cells (CD27+CD8+CD57- T cells) から,intermediate-diff. CD8+ T cells (CD27+CD8+CD57+ T cells)を介して,CD8+ effector細胞である,terminal-diff. CD8+ T cells (CD27-CD8+CD57+ T cells)に分化する.CD8+ T細胞上でのPD-1の発現は,early-stageで最も多く,その後分化とともに減少していき,effector 細胞上でのPD-1の発現は少ない.しかし,癌患者ではCD8+ T細胞の分化が抑制されている場合には,各分化型でのPD-1の発現が遷延する.Stage IVの癌患者43例の末梢血中での,こられCD8+ T細胞の各分化型と,各分化型でのPD-1の発現が予後と如何に相関するかを単・多変量解析を用いて解析すると,terminal-diff. CD8+ T細胞が独立予後良好因子(HR 0.958 95%CI 0.922~0.994 p=0.023)であり,PD-1(+)terminal-diff. CD8+ T細胞が独立予後不良因子(HR 1.232 95%CI 1.106~1.372 p<0.0001)であることが判明した.今回,近年医療応用の研究が急速に進んでいる水素ガスをStage IVの癌患者37名に投与し,上記の癌患者の免疫パラメータとなり得る,terminal-diff. CD8+ T細胞とPD-1(+)terminal-diff. CD8+ T細胞を測定し,これらのパラメータの動向と予後との関連について検討した.【成績】PR症例12例,SD症例16例,PD症例9例であり,奏効率は32.4%,臨床的有効率は75.7%であった.毎日水素ガスを吸引している症例で,PR率が高く(57.1%),週2回25%,週1回17.6%,週2回0%であり,臨床効果との間に濃度依存性があることが示唆された.水素ガスの有効な症例では,PD-1(+)terminal-diff. CD8+ T細胞の低下が(22例/33例 66.7%),terminal-diff. CD8+ T細胞の増加 (33例中11例 33.3%)が認められた.terminal-diff.CD8+ T細胞高値群は,低値群に比して,PD-1(+)terminal-diff. CD8+ T細胞は有意に低値であった(p=0.003).【結論】水素ガスは,CD8+ T細胞の分化を誘導することで,terminal-diff. CD8+ T細胞を増加させ,PD-1(+)terminal-diff. CD8+ T細胞を減少させることが示唆された.
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