演題

PN7-4

消化管癌術後せん妄のリスク因子評価―第II相試験のサブグループ解析

[演者] 神谷 真梨子:1
[著者] 青山 徹:1, 田栗 正隆:2, 菅野 伸洋:1, 原田 浩:1, 佐藤 勉:1, 大島 貴:1, 山中 竹春:2, 利野 靖:1, 益田 宗孝:1
1:横浜市立大学 外科治療学, 2:横浜市立大学 臨床統計学教室

背景:消化器癌術後には約20 %の頻度で術後せん妄を発症する.術後せん妄は,周術期管理の複雑化や術後回復の遷延に影響する重要な合併症の一つである.しかしながら,消化器癌術後せん妄のリスク因子は十分に検討されていない.今回,第II相試験(術後せん妄予防における抑肝散の効果の検討(UMIN ID:000005423)に登録された症例を用いて消化器癌術後せん妄発症のリスク因子を検討した.
対象と方法:第II相試験に登録された症例は186例で,このうち消化器癌症例167例を検討の対象とした.術後せん妄は, Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-IV)を使用して評価した.群間の背景因子の比較はχ2検定で,リスク因子の解析はlogistic回帰分析で施行した.本研究は,当院のIRBより承認を受けた.
結果:対象の年齢の中央値は77歳(range: 70-89),男性105例/女性62例,胃癌87例/結腸癌53例/直腸癌19例/その他8例,開腹手術80例/腹腔鏡下手術87例,手術時間の中央値は243分,術中出血量の中央値は120mlであった.術後せん妄の発生は14例(8.4%)に認めた.術後せん妄は発症群と非発症群で年齢や性別などの患者背景因子と出血量や手術時間などの術中因子を比較検討すると,術後せん妄発症群では有意に80歳以上の割合が高かった(p=0.002).年齢,性別,癌主手術時間,出血量,手術術式などを調整因子としてリスク因子解析を行うと,年齢が有意なリスク因子となった(Odds ratio: 6.67, 95% CI; 1.96-25.0, p=0.003).
考察:今回の検討では,年齢が消化器癌術後せん妄の発症に影響する重要な因子であった.80歳以上の消化器癌手術予定症例では,術後せん妄の発症に留意し周術期管理を行う必要があると考えられた.
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