演題

PM9-2

腹腔鏡手術における臓器摘出創としての臍縦小切開の検討

[演者] 冨岡 幸大:1
[著者] 村上 雅彦:1, 藤森 聡:1, 吉澤 宗大:1, 平井 隆仁:1, 古泉 友丈:1, 五藤 哲:1, 渡辺 誠:1, 大塚 耕司:1, 青木 武士:1
1:昭和大学病院 消化器・一般外科

【背景と目的】当科では定期手術の80%以上で腹腔鏡手術を選択し,臓器摘出創として臍縦小切開を標準としている.今回,臍縦小切開創のSurgical site infection (SSI)のリスクファクターについて統計学的に検討し,その有用性を検討した.
【対象と方法】2010年1月から2013年12月まで当科で臍縦切開創を用いた腹腔鏡手術全1609例(緊急手術含む)のうち,1380例(胃253例,大腸390例,肝臓/膵臓/脾臓91例,胆嚢461例,虫垂185例)を対象とした.臍創部は,臍表皮に縦切開を加え12mmポートを挿入し手術に使用,臓器摘出の際は同部位を摘出臓器の大きさに合わせ適宜頭尾側方向に延長し,3~5cmの小切開創とした.胆嚢・虫垂に関しては創部の皮膚切開の延長は行わなかった.切開方法,創被覆方法は統一して行った.外科手術における主要合併症のひとつであるSSIの発生率とリスクファクターについて検討を行った.年齢,性別,身長,体重,BMI,糖尿病の既往,創延長の有無,手術時間,出血量,術後在院日数を抽出し後方視的検討を行った.
【結果】性別は男性787例,女性593例,平均年齢は62.9歳(中央値67歳,範囲16-92歳)であった.臍創部SSIは18例(1.30%)(大腸:13例(3.33%),胃:2例(0.79%),胆嚢:3例(0.65%))に認め,大腸切除で有意に高率に発生した(P=0.0012).さらに,SSIの有無の2群間で比較検討したが出血量(P=0.037),創延長(P=0.007),大腸切除(P<.0001),在院日数(P<.0001)の4項目で有意な差を認めた.多変量解析を行うと,大腸切除が独立したリスクファクターとして挙げられた(P=0.004, Odds ratio; 6.535, 95% Confidence Interval; 1.716-45.001).また,大腸切除に限定し同様に検討した結果,明らかなリスクファクターは挙げられなかった.
【結語】臍縦小切開創のSSIの発生率は1.2%であり,リスクファクターとして大腸切除が挙げられた.しかしながら,腹腔鏡手術において臓器摘出創としての臍縦切開創は整容性と合理性を兼ね備えた手術創であると考えられた.
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