演題

PM8-5

血液透析導入患者における緊急手術症例に関する検討

[演者] 森 良太:1
[著者] 賀川 義規:1, 加藤 健志:1, 内藤 敦:1, 村上 剛平:1, 桂 宜輝:1, 大村 仁昭:1, 竹野 淳:1, 武田 裕:1, 田村 茂行:1
1:関西労災病院 外科

目的)
透析患者の併存病変に関する手術は,一般に行われるようになってきているが,緊急手術に対する対策はいまだ不十分で,危険性が高く一般的に予後不良とされてきた.当院は地域の中核病院として高リスクの患者に対しても積極的に緊急手術を施行しており,その問題点と対策について検討した.

方法)
当院にて2013年1月~2016年11月までに施行された血液透析導入患者(HD群)における緊急での腸管切除術を施行した症例のうち悪性腫瘍疾患を除いた透析導入患者16例と血液透析非導入患者(NHD群)98例について手術成績,死亡率などについてt検定,χ二乗検定を用い検討した.

成績)
平均年齢はHD群:74.9,NHD群:73.1(p=0.61)で,男性/女性比はHD群:12/4 ,NHD群53/45(p=0.17)と有意差は認めなかった.循環器疾患の既往は68.8%/24.4%(p<0.01)ASOの既往は31.3%/3.13%(p<0.01),糖尿病の既往は43.8%/18.8%(p=0.05)と有意にHD群で多かった.
手術時間(中央値,min)はHD群/NHD群で142/152(p=0.53)と有意差は無かったが,術中出血量(中央値,ml)は144/73(p<0.01)と有意に多かった.術後30日以内死亡率(%)は50.0/5.2(p<0.01,オッズ比:18.6)と有意に術後成績が悪かった.
HD群の緊急手術時の病名は腸管穿孔:5例,腸管虚血:8例,SMA血栓症:2例,イレウス:1例,ヘルニア嵌頓:1例であった.症例数が少なく有意差は出なかったが心疾患の既往がある11例中7例(63.6%),特に心臓手術後の4例中3例(75%),またASO患者の5例中3例(60%),DM患者の7例中4例(57.1%)が30日以内に死亡していた.

結語)
血液透析導入患者における緊急手術症例は死亡率が非常に高いが,中でも心疾患,ASO,DMを併存しているとそのリスクは上昇する.患者の状態と併存症を考慮し手術の適応の判断が必要である.また手術を行うに当たり術前のインフォームドコンセントが非常に重要であると考えられる.
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