演題

PD04-1

肝機能指標としてのATIIIの臨床意義と完全鏡視下肝切除術における難易度スコアによる手術侵襲予測

[演者] 水口 徹:1
[著者] 永山 稔:1, 山口 洋志:1, 今村 将史:1, 沖田 憲司:1, 西舘 敏彦:1, 伊東 竜哉:1, 信岡 隆幸:1, 木村 康利:1, 竹政 伊知朗:1
1:札幌医科大学医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座

【目的】肝機能評価は各種のタンパク合成能とICGによる代謝能から評価される.アシアロシンチも有用で,線維化を診断する各種の指標も間接的に肝機能を反映する.術後の肝機能には,切除容積に加えて手術侵襲も影響する.腹腔鏡下肝切除術においては難易度スコアが考案され,手術侵襲の評価指標として利活用できる.今回は,術前の肝機能評価としてのATIII と修正幕内基準の有用性を明らかにする.また,腹腔鏡下肝切除の手術予測因子として難易度スコア(DS)の有用性も明らかにする.
【方法】A:肝機能研究;2009年7月から2011年8月までの連続して切除前後の肝容積を測定した86症例を対象とした.各種の肝機能因子を比較した.ATIII ・ICG・HH15・LHL15によるHarada scoreによる修正幕内基準を評価した.肝機能障害は術後7日以内にビルビン3 mg/dl以上かつPT値50%未満とした.B:手術予測評価研究; 2010年から2016年までに施行した完全腹腔鏡下肝切除術115症例を対象とした.難易度スコアおよび手術時間・出血量を回帰係数,ROC解析,インタラクティブドットダイアグラムにより比較検討した.
【成績】研究A;14種の肝機能指標の相互相関では,ATIII が13種の因子と相関した.ATIII とICGR15は逆相関し,総和は100%となった.幕内基準内75症例中6症例,修正幕内基準内69症例中3症例が肝機能障害をきたした.修正幕内基準の感度84.6%特異度は60%であった.研究B;DSの経年変化を見ると,2011年に中央値2点であったが,毎年0.5点づつ上昇し2016年では5点であった.DSと手術時間の相関係数は0.526 (P<0.001)であり,DS1点につき30分の延長をきたす.また,手術時間300分以上の予測能はAUC=0.686 (P=0.0004)で,カットオフ値は5点,感度53.8%特異度66.7%であった.DSと出血量の相関係数は0.364 (P=0.004)であり,DS1点につき30mlの増量をきたす.出血量300ml以上の予測能はAUC=0.800 (P=0.001)で,カットオフ値は5点,感度63.6%特異度91.7%であった.
【結論】Harada scoreによる修正幕内基準は,術後の肝機能障害をより正確に予測できるものと考えられた.DSは,腹腔鏡下肝切除の難易度を経年的に客観評価できる.また,DSによる予測手術時間は180+30×DS (分)で,予測出血量は30×DS (ml)で,術前に手術時間・出血量の予測することで,手術申込時,患者説明時あるいは開腹移行時の基準となりうることが示唆され,実臨床で有用な指標と考えられた.
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