演題

PM8-1

当院における高難度肝胆膵手術に対するVTE対策の現状

[演者] 南 裕太:1
[著者] 川口 大輔:1, 湯川 寛夫:1, 大田 貢由:1, 國崎 主税:1, 森 隆太郎:2, 熊本 宜文:2, 松山 隆生:2, 秋山 浩利:2, 遠藤 格:2
1:横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター, 2:横浜市立大学附属病院 消化器・肝移植外科

【目的】高難度肝胆膵手術の大部分は,悪性腫瘍に対する長時間手術であり,術後出血のリスクも高い.腹部手術に対するVTE対策は広く行われるようになってきたが,高難度肝胆膵手術における報告は少なく,今回,当院におけるVTE対策の現状について検討した.【対象と方法】2012年から2016年10月までに高難度肝胆膵手術を施行した139例を対象とし,retrospectiveに検討した.全例,術前にDダイマー値を測定し,1.1μg/ml以上の症例は,下肢静脈エコーを施行.DVTが存在する場合には造影CTまたは肺血流シンチグラフィにより肺塞栓症の有無を検索した.術前にVTEが存在する症例には,術前日までヘパリンを投与し,全例で術中および,術翌日まで弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法による物理的なVTE予防を行った.全例で術後は翌々日よりエノキサパリンを退院まで,あるいは術後14日まで12時間毎に,腎機能低下症例,体重40kg未満症例,80歳以上の高齢者症例では24時間毎に投与した.術後はVTEが疑われない限り,VTE有無の評価は行わず,全症例で止血処置の必要な術後出血イベントの発生の有無および,その他合併症の有無を検討した.【結果】140例のうち,高難度肝臓手術が60例,胆膵手術が80例で,全例開腹手術であった.術前のDダイマーが1.1μg/ml以上であった症例は45例であり,そのうち8例にDVTを認めていたが,肺塞栓症は全例認めなかった.術前のDダイマー値が1.0μg/ml以下の症例で,下肢静脈エコーを施行した症例のうち,2例にDVTを認めたが,いずれも器質化した血栓であった.肝臓手術では,術後に止血処置が必要となった術後出血を認めなかった.胆膵手術では膵頭十二指腸切除術後3例(3.8%)に,膵液瘻に伴う動脈性の出血を認め,全例IVRで止血した.また,1例で術後早期に左頭頂葉の皮質下脳出血を併発したが,エノキサパリンの投与を中止し,保存的に軽快した.術後有症状のVTE症例は認めなかった.【結語】出血のリスクが高いと思われる高難度肝胆膵手術でも,VTE予防薬使用に関しては比較的安全に施行できると思われた.
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