演題

PM7-1

新しい吸引凝固嘴管「サクションボール・コアギュレーター」の開発と臨床導入

[演者] 勝山 晋亮:1,2
[著者] 黒川 幸典:1, 高橋 剛:1, 宮崎 安弘:1, 牧野 知紀:1, 山崎 誠:1, 瀧口 修司:1, 森 正樹:3, 土岐 祐一郎:1, 中島 清一:1,2
1:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅱ, 2:大阪大学 次世代内視鏡治療学, 3:大阪大学大学院 消化器外科学Ⅰ

<背景>「ソフト凝固」は多くの外科系領域で欠かせない出力モードとなっている.しかし,出血部位がwetな状態では電流が拡散され十分な電流密度を得られない.このモードをより効果的に使用するには,血液の適切な「吸引」と組織の「凝固」をタイミングよく同時に行う必要がある.我々は吸引と凝固機能を兼ね備えた新しい一体型電気メスプローブ「サクションボール・コアギュレーター (SBC)」をまず開腹・開胸手術用に開発した.これらはすでに普及しつつあるが,さらに改良を加えて腹腔鏡手術用プローブを開発,このたび臨床導入を行なったので報告する.
<SBCの開発>SBCは効果的な止血ができるように様々な工夫がされている.プローブの先端(電極部)をボール型とし,接地面積を広く確保することで十分な止血効果を発揮できるようにした.また吸引孔は組織がトラップされない範囲で吸引力を担保すべくサイズを最適化した.さらに,タイミングよく凝固・吸引を行えるようハンド・スイッチ式とし,出血程度に応じて吸引圧を調整できるようグリップ部に調整孔を設けた.SBCはコードを含めて一体型のディスポーザブル式を採用しており,リユースによる機器汚染残存のリスクや,コード断線等によるmalfunctionの懸念がない.これまで数世代にわたる試作品を前臨床試験で繰り返し検証しながらデザインを絞り込み,最終的に良好な操作性と止血能を確認したうえで量産型のスペックを確定した.
<対象>当院にて,上部消化管,下部消化管,肝胆膵手術計20例で試用し,スペックを評価した.
<結果>いずれの症例においても SBCで速やかな止血が得られ,後出血や凝固に伴う臓器損傷は認めなかった.吸引力は専用の吸引嘴管に比べるとやや劣るものの,血液,腹水や洗浄水は十分に吸引可能であった.また,ボール型の先端部は鈍的剥離に有用であった.いっぽうSBCは持続的に吸引がかかるため,腹腔鏡手術で気腹の「抜け」が懸念された.気腹装置の種類によっては実気腹圧が数mmHg低下する場合があったものの,視野の確保は十分可能で,手術への大きな影響は認めなった.
<まとめ>SBCは吸引,剥離,止血が可能なマルチパーパス・プローブであり,安全で質の高い手術が可能であった.今後はさらに広い診療科での支持を得るべく,必要に応じて改良を加え,ライフ・サイクルの長いデバイスへと育てていきたいと考えている.
詳細検索