演題

ISRを施行したcT3以深下部進行直腸癌における長期予後の検討

[演者] 豊島 明:1
[著者] 天野 隆晧:1, 赤井 隆司:1, 遠藤 健:2, 須並 英二:1
1:日本赤十字社医療センター 大腸肛門外科・胃腸科, 2:蓮田病院 外科

はじめに 2005年より下部直腸悪性腫瘍に対しISRを122例施行した.今回はcT3以深下部進行直腸癌に対する,治療方針の変遷とその長期治療成績を報告する.対象と方法 当院ではcT3以深下部直腸癌に対し初期は術前CRTを選択していたが重篤な合併症を経験し,中期には術前無治療(術後CRT含む)を選択.その後再度後期には術前CRTを選択している.ISRを施行したstageⅣ症例を除く,術前CRT(以下,CRT群)10例,術後照射を含む術前無治療(以下,無治療群)34例を対象とし,再発形式と長期予後を比較検討した.(尚今回は24か月以上観察出来た症例を対象とし,リンパ節5㎜以上を転移陽性としてcStageを再評価した.) 結果 cT3以深症例におけるCRT群ではCRM1mm以下2例(20%),Distal Margin(以下,DM)平均値16.8mm,縫合不全1例(10%)であった.再発形式はCRM1mm以下の1例(10%)に吻合部再発を認めAPR施行,遠隔転移再発は無かった.無治療群ではCRM1mm以下3例(8.8%),DM平均値16.1mm,縫合不全1例(2.9%)であった.再発形式は局所再発を6例(17.6%)認め,うち4例には遠隔転移を併発し化学療法施行.残り2例に吻合部再発を認め,1例はRTxにてCR,1例は子宮体癌/腎不全を併発.遠隔転移単独は8例(24%)認めた.5年RFSはCRT群90%と無治療群45.4%で,2群間に有意な差は認められなかったが(p=0.06),CRT群に再発の少ない傾向がみられた.5年OSはCRT群85.7%,無治療群59.3%で有意な差は認められなかった(p=0.23).考察 cT3以深局所進行直腸癌にISRを施行した症例では,CRM1mm以下やDM不足より術前CRTや術後補助化学療法を行わなかった症例に局所再発の頻度が高い傾向が見られた.局所再発の予防策としてはmarginの確保だけでなく,術前CRTや補助化学療法も挙げられた.また局所再発した場合には単独であればAPRもしくは術後CRTが適応となるが,遠隔転移を伴っている場合も多く,強力な周術期化学療法の考慮も必要と考えられた.
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