演題

食道癌手術症例における炎症・栄養状態及びサルコペニアが周術期に及ぼす影響

[演者] 相馬 大介:1
[著者] 山田 和彦:1, 野原 京子:1, 山下 智:1
1:国立国際医療研究センター病院 外科

【背景】 腫瘍増殖因子の一つである炎症性サイトカインIL-6は,癌の浸潤に関与して,その濃度はCRP値に反映される.CRP値とAlb値から算出するModified Glasgow prognostic score(mGPS)は炎症と栄養状態を反映する指標が癌の予後因子として有用との報告がある.また骨格筋量の減少はサルコペニアと定義され,悪性腫瘍の予後に影響を及ぼす患者側因子として注目されている.GPSとサルコペニアは一連のがん悪液質の病態を示すと考えられるが,両者の関連を検討した報告は少ない.
【対象と方法】 2014年1月から2016年5月までに当科で胸腹部に操作が及ぶ胸部食道癌根治に対して手術を行った69例を対象とした.術前に明らかな感染症がある症例を除外した. mGPSはCRP<1.0㎎/dLかつAlb>3.5g/dLを0点,CRP≧1.0㎎/dLもしくはAlb≦3.5g/dLを1点, CRP≧1.0㎎/dLかつAlb≦3.5g/dLを2点として0点をmGPS-L群,1,2点をmGPS-H群とした.骨格筋量は術前のCT検査にて第3腰椎レベルの骨格筋面積をSYNAPSE VINCENTを用いて測定して,身長で補正した値であるskeletal muscle index (SMI)を算出した.【結果】 年齢:平均67歳,男性/女性 58/11例,術前療法施行/非施行 30/39例.SMI値はmGPS-H群で36.7 mm2/m2とmGPS-L群:45.2mm2/m2と比較して有意に低かったが(P=0.03),BMIとmGPSには相関を認めなかった.呼吸器合併症を認めた群のSMI値:40,8 mm2/m2は認めなかった群(45,2mm2/m2)と比較して有意に低かったが(P=0.03), 全体での術後合併症を認めた群と認めない群の比較ではSMI値に有意な差を認めなかった.全合併症,肺合併症ともにBMI値とは有意な相関関係を認めなかった.
【まとめ】mGPS1,2点例では骨格筋量の減少があり,がんの慢性炎症とサルコペニアは一連の病態であることが示唆された.またサルコペニアが術後の肺合併症に特に影響しており,積極的な炎症状態の改善や栄養管理が重要であると考えられた.
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