演題

食道癌術前化学療法前後での栄養状態の変化と臨床効果の関連性

[演者] 高橋 洵:1
[著者] 齋藤 正昭:1, 菊地 望:1, 小櫃 保:1, 福田 臨太郎:1, 石岡 大輔:1, 清崎 浩一:1, 力山 敏樹:1
1:自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科

[背景]最近の報告では栄養障害が化学療法の毒性発現や長期予後へ影響するとされている.今回の研究では,進行食道癌に対する術前化学療法の前後での栄養状態を比較し,それぞれの栄養指標と臨床病理学的な効果との関連性を評価することを目的とした.[対象と方法]2011年1月から2015年12月までに当院で術前化学療法を施行したcStageⅡ,Ⅲ胸部食道癌症例 36例を対象とした.栄養指標として術前化学療法の前後における体重,血清Alb値および骨格筋量の減少の有無を検討した.それぞれ維持群と低下群の2群に分類し化学療法に対する臨床効果との関連性を検討した.体重1%以上の減少,血清Alb値0.1g/dl以上の減少を有意な減少と定義し,骨格筋量はCTで第3腰椎レベル断面の左右大腰筋面積を測定し,大腰筋面積5%以上の減少を有意な減少と定義した.[結果]症例の内訳は,cStageⅡ20例 cStageⅢ16例で,男性31例,女性5例,年齢中央値は67歳であった.症例全体では化学療法前後での体重減少16例(44.4%),血清Alb値低下16例(44.4%),5%以上の大腰筋面積の低下16例(44.4%)を認めたが,化学療法のDose intensityでは変化を認めなかった.体重維持群では減少群と比較して切除標本における組織学的治療効果がgrade2,grade3症例の割合が高い傾向にあった(p=0.05).血清Alb維持群では臨床的PR,CRの症例の割合が優位に高かった(p<0.05).今回の検討では骨格筋減少率と臨床効果との関連は認めなかった.[考察]臨床的,病理学的に効果を認めた症例では栄養状態が維持されている傾向にあったことから,術前化学療法施行後の栄養状態評価が予後予測へ応用できる可能性が示唆された.また,臨床効果が十分に認められない症例では栄養状態が悪化している可能性を考慮し栄養介入などの対応が必要であると考えられた.
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