演題

食道切除後6か月における筋萎縮

[演者] 林 勉:1
[著者] 高川 亮:1, 村上 仁志:1, 長谷川 誠司:1, 福島 忠男:1, 今田 敏夫:1, 佐藤 勉:2, 大島 貴:2, 利野 靖:2, 益田 宗孝:2
1:済生会横浜市南部病院 外科, 2:横浜市立大学医学部 外科治療学

背景:食道切除後は経口摂取量の減少に伴い栄養障害が生じうる.また,術後合併症や不顕性誤嚥による肺炎によりADL低下を来たす.栄養障害とADL低下,合併症による慢性炎症はいずれも筋萎縮を引き起こし,筋萎縮は長期予後に関与すると報告されている.本研究は術後6カ月におけるCT画像で食道癌術後遠隔期の筋萎縮を検討する.
方法:2011年1月から2014年12月までに横浜市立大学附属病院および済生会横浜市南部病院において食道扁平上皮癌に対して胸部食道亜全摘が実施された42例を対象とし,術後6カ月以内の再発症例とR2またはR1切除で術後化学療法または放射線療法が行われた症例は除外した.全症例において,術中に腸瘻を造設し術後1日目より経腸栄養を開始し,退院後も経口摂取量が回復するまで経管栄養を継続した.術前および術後6カ月における腹部CT画像から腸腰筋断面積(CSA)を測定し,筋肉減少率(%CSA):(術前CSA-6カ月CSA)/術前CSA×100(%)を算出した.%CSAの中央値を算出し,中央値未満をC群(21例),中央値以上をS群(21例)とし患者背景,術後合併症の有無,術後6カ月における体重減少率を比較検討した.
結果:術後6カ月における%CSAの中央値は7.85%(-18.69-34.47%)であった.年齢はS群で高齢な傾向がみられた(S群 vs C群:平均70.2歳vs 65.7歳,p=0.09).男女比(男/女 S群18/3 C群 15/6 p=0.454),進行度(StageI/II/III/IV, S群1/8/11/1,C群 6/5/9/1 p=0.181),腫瘍局在(Ut/Mt/Lt,S群 3/12/6,C群 2/11/8,p=0.828),アプローチ(胸腔鏡/開胸 P群 15/6,N群18/3 P=0.454),では両群間に有意な差は無かった.周術期合併症の発生率はS群で有意に高いが(S群76.2% vs C群33.3%,p=0.012),体重減少率(S群7.2% vs C群6.0% p=0.603)では両群間に有意差は見られなかった.
考察:術後合併症は遠隔期の筋萎縮を引き起こす可能性が示唆された.経管栄養により体重は維持されており,合併症による炎症反応の遷延やADLの低下が関与している可能性が考えられる.
詳細検索