演題

食道癌手術における腸瘻造設の検討

[演者] 安部 俊弘:1
[著者] 林 弘人:1, 古谷 卓三:1, 佐伯 俊宏:1, 矢原 昇:1, 竹本 紀一:1, 蘓村 秀明:1, 前田 祥成:1, 太田 啓介:1
1:関門医療センター 外科

【はじめに】食道癌手術症例では手術時に腸瘻を造設し,早期に経腸栄養を開始することの有用性は多くの報告により明らかにされている.しかし,腸瘻造設が原因となる術後腸閉塞の報告も散見され,我々も過去に経験した.以前は食道癌手術時,全例に腸瘻増設を行っていたが,2014年2月以降の症例では原則,腸瘻造設を行っていない.今回,retrospectiveではあるが,定型的な右開胸あるいは胸腔鏡補助下食道切除,胃管再建症例で,腸瘻の有無による経過を比較検討した.【対象】2010年1月から2016年12月までの同一術者食道手術症例58例のうち,定型的な右開胸開腹あるいは胸腔鏡下食道切除,胃管再建例の34例(腸瘻あり(A群):18例,腸瘻なし(B群):16例)を対象とした.【結果】両群間に術前:年齢(64.1±2.18 vs 67.7±1.66 歳)(mean±SE),Alb値 (4.01±0.10 vs 4.16±0.14 g/dL) に差を認めなかったが,BMI (A群vs B群:22.6±0.79 vs 19.6±0.75) はA群が高く(p<0.05),StageIII以上の症例(14/18 vs 7/16)はA群に多く(p<0.05) ,術前化学療法ありの症例(11/18 vs 5/16) はA群に多かった(p<0.05).術式では胸腔鏡下手術施行例(4/18vs6/16)に差を認めなかった.また,術後在院期間(39.1±7.50 vs 24.4±2.34 日)はB群が短く (p<0.05) ,術後肺炎発症の有無(4/18 vs 3/0),縫合不全発症(4/18 vs 1/16),人工呼吸器管理期間 (2.06±0.25 vs 2.56±0.36 日),Clavian-Dindo III以上の術後合併症発症 (5/18 vs 2/16) に差を認めなかった.また,B群では腸閉塞発症は認めなかったが,A群で3例の腸瘻増設が原因の腸閉塞を認め,このうち2例に手術を要した.【考察】retrospectiveかつ少数の症例での検討ではあるが,腸瘻非造設群に早期癌症例が多かった.このため,術後の経過が腸瘻造設群と差の無かった可能性が考えられた.今後,早期食道癌症例,術前化学療法が未施行な症例や胸腔鏡下手術例など症例によっては腸瘻造設を省略できる可能性が示唆された.
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