演題

術前化学療法中に完全経腸栄養を施行した経口摂取不能進行食道癌の7例

[演者] 前澤 幸男:1,2
[著者] 尾形 高士:1, 神尾 一樹:1,2, 中島 哲史:1, 池田 耕介:1, 山田 貴允:1,2, 利野 靖:2, 益田 宗孝:2, 長 晴彦:1,2, 吉川 貴己:1,2
1:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 2:横浜市立大学 外科治療学

【はじめに】JCOG9907により進行食道癌に対する術前化学療法(NAC)が予後を改善することが検証され,切除可能なStageⅡ/Ⅲ胸部食道癌対する,本邦での標準治療は,術前化学療法+根治手術となった.しかしながら,狭窄により経口摂取困難な症例や化学療法施行に際して障害となる因子が存在する場合などは患者状態に応じて手術単独療法または術後化学療法が施行されることが多い.術前化学療法中に経口摂取が不十分な症例に対して,経腸栄養と静脈栄養の併用により,術前化学療法が安全に施行可能との報告はあるが,術前化学療法中の完全経腸栄養についての報告は少ない.【目的】当院消化器外科における進行食道癌に対する術前化学療法中の完全経腸栄養施行例について検討する.【対象と方法】2014年1月から2016年11月までに,当院で進行食道癌に対して術前化学療法後に食道切除術を施行した症例のうち,経口摂取不能により術前化学療法中に完全経腸栄養が施行された7例の臨床経過について検討した.【結果】年齢中央値は67歳,男性が5例,PS1以上が3例.進行度はStage2/3が6/1例で,組織型は全て扁平上皮癌であった.NACレジメンはFP療法/DCF療法が6/1例で,化学療法中の有害事象はGr3発熱性好中球減少,Gr4好中球減少,Gr3下痢をそれぞれ1例ずつ認めたが,化学療法中止となった症例はいなかった.投与カロリー中央値は1800ml/day,NAC前後の体重,BMI,Alb値,preAlb値の中央値はそれぞれ54.2/52.8kg,20.3/20.3,3.3/4.0g/dl,19.2/21.6mg/dlであった.術中出血量中央値は440ml,平気術後入院期間は18.7日で,Cravien-Dindo分類Grade2以上の感染性合併症は2例に認めたが,周術期死亡はなかった.【結語】進行食道癌に対する術前化学療法中の完全経腸栄養は安全に施行可能であり,経口摂取困難な症例に対する術前化学療法施行時の有用な選択肢となる可能性が示唆された.
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