演題

食道癌術前治療における腹腔鏡下腸瘻造設による栄養管理の有用性

[演者] 永田 健:1
[著者] 辻本 広紀:1, 兼松 恭平:1, 野村 信介:1, 堀口 寛之:1, 菅澤 英一:1, 平木 修一:1, 長谷 和生:1, 山本 順司:2, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校病院 第1外科, 2:防衛医科大学校病院 外科3・肝・胆・膵外科

【背景】JCOG9907臨床試験の結果に基づき,切除可能cStageII/III食道癌では術前化学療法(NAC)後の食道切除が標準治療に位置付けられた.一方,腫瘍による狭窄により経口摂取が不十分な場合には,数ヶ月に及ぶNAC中の栄養状態の悪化が危惧される.当科ではこのような症例に対して,NAC前に腹腔鏡下腸瘻造設術(LJ)を施行し,栄養状態の改善を図りつつNACを行う方針としている.今回,NAC前後における栄養学的指標の変動を評価し,LJの有用性を検証した.
【対象】当院で2009年1月から2016年12月までに,胸部食道癌に対してNAC後に根治手術を施行した72例を対象とした.
【方法】腫瘍の狭窄により経口摂取不能な患者に対してLJ後にNACを施行した11例をLJ群,同期間にLJを行わずにNACを施行した61例を対照群として,NAC前後の骨格筋量の変化(psoas index (PI): 第3腰椎での腸腰筋面積cm2/身長m2),血清アルブミン値,リンパ球数などの栄養学的指標について検討した.
【結果】両群間において,性別,年齢,腫瘍深達度,リンパ節転移,郭清領域,胸部操作術式,腹部操作術式,吻合部位,再建方法に差を認めなかった.NAC前後での血清アルブミン値(g/dL)の変化は,LJ群で3.2±0.2→3.7±0.3とNAC後に有意に上昇したのに対して,対照群では3.9±0.4→3.8±0.5とNAC前後での変化は認められなかった.同様に,リンパ球数(/uL)はLJ群で1366.0±486.8→1693.9±655.2と有意に増加したのに対して,対照群で1547.3±484.3→1556.6と変化は認められなかった.体重変化はLJ群で52.1±14.6→49.3±12.7,対照群で55.1±13.7→55.9±8.9と両群で有意な差は認められなかったが,PIはLJ群で36.2±6.1→36.0±8.6と不変であったのに対して,対照群では47.0±14.6→44.8±12.9と減少していた.
【結語】腫瘍の狭窄により経口摂取が不十分な進行食道癌患者においては,LJをNAC前に実施することで,栄養状態の改善を図りつつ,NACを施行することが可能であり,栄養学的に有用な手技であると考えられた.
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