演題

食道癌手術におけるSurgical Apgar Scoreと合併症予測因子

[演者] 中川 暁雄:1
[著者] 中村 哲:1, 山本 将士:1, 金治 新悟:1, 山下 公大:1, 松田 武:1, 押切 太郎:1, 角 泰雄:1, 鈴木 知志:1, 掛地 吉弘:1
1:神戸大学大学院 食道胃腸外科学

【背景】近年,周術期管理や手術手技の進歩により,食道癌手術の安全性は向上したが,消化器癌手術の中で最も侵襲 が大きく,術後合併症発症率は他疾患と比較して未だ高率である.Surgical Apgar Score(以下 SAS)は術中因子を数値化 して合併症予測に用いるものであり,その有用性について報告されている. 【目的】食道癌術後合併症予測における SAS の有用性を明らかにする. 【対象と方法】2007 年 1 月から 2017 年 1 月までに当院で食道癌手術を行った症例 400 例を対象とした.SAS は麻酔記 録より算出した出血量,最低平均血圧,最低心拍数それぞれのスコアを合計し,5 点以下を高リスク群とした.術後合 併症は JCOG 術後合併症規準(Clavian-Dindo 分類)に従い,それぞれ呼吸器関連,消化器関連,循環器関連,その他,の サブグループに分類し,GradeIII 以上の合併症を抽出した.これらと患者の臨床病理学的因子や無再発及び全生存期間 との関連について retrospective に比較検討を行った. 【結果】GradeIII 以上の合併症は全体の 36.0%に見られ,肺炎や反回神経麻痺などの呼吸器関連合併症が最も多かっ た.全合併症の発生と有意に相関があったのは SAS が 5 点以下であることであった(p<0.0001).また,呼吸器関連合併 症の発生と有意に関連が認められたのは,65歳以上(p=0.026),BMI19以下(p=0.042),開胸操作(p=0.018),SAS が 5 点以 下(p=0.01)であった.また予後解析では,c-stageII 以上の食道癌において,SAS5 点以下の症例は 6 点以上の症例に比し 有意に予後不良(p=0.025)であった. 【結語】SAS は食道癌術後の合併症の発生予測のみならず長期予後予測においても有用であった.術中の適切な vital コントロールと,出血を抑える事で合併症を減少させ,予後を改善させる可能性が示唆された.
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