演題

術前化学放射線療法の進行下部直腸癌病理学的因子への効果

[演者] 横山 省三:1
[著者] 堀田 司:1, 松田 健司:1, 岩本 博光:1, 田村 耕一:1, 尾島 敏康:1, 上野 昌樹:1, 中森 幹人:1, 瀧藤 克也:1, 山上 裕機:1
1:和歌山県立医科大学医学部 外科学第二教室

われわれはこれまでcapecitabineを用いた切除可能進行直腸癌に対する術前化学療法について本邦における第I相および第II相臨床試験を行い,その安全性と有効性について報告してきた.切除可能下部直腸癌に対し術前化学放射線療法が局所制御を目的として行われているが,直腸癌の浸潤形式として,脈管侵襲,リンパ管侵襲,tumor deposit ,傍神経浸潤があり,術前化学放射線療法の縮小効果はどの病理学的因子に強く作用するか不明である.本研究では,術前化学放射線療法非施行例と施行例を比較検討することにより,どの病理学的因子に縮小効果が強いか,さらに,局所および遠隔転移再発にどの因子が関連するかについて検討した.対象はStage IIおよびIIIの占拠部位が RaおよびRb切除可能局所進行直腸癌102例,2008年10月から2010年8月の術前化学放射線療法非施行例51例,2010年9月から2015年5月までは術前化学放射線旅法施行例51例を対象とした.放射線照射は1日1回1.8Gyを週5日5週間,総線量45Gyを照射,放射線照射時に5日投薬2日休薬にてcapecitabine 825 mg/m2,bidを投与した.4~6週後に手術を施行し,切除標本の病理学因子について検討した.まず,術前化学放射線療法非施行例について,局所再発および遠隔転移再発に関連する因子について多変量解析で検討したところ,tumor depositが局所再発を予測する独立した因子であり,傍神経浸潤が遠隔転移を予測する独立した因子であった.つづいて術前化学放射線療法非施行例と施行例の病理学的因子を比較検討した.術前化学放射線療法により有意な変化を認めた因子は,circumferential resection margin,tumor deposit,リンパ管侵襲,脈管侵襲であり,有意な変化を認めなかった因子は傍神経浸潤とリンパ節転移であった.術前化学放射線療法非施行例で局所再発の独立した因子であるtumor depositおよび遠隔転移の独立した因子である傍神経浸潤について術前化学放射線療法施行例の局所および遠隔転移無再発生存についてKaplan-Meier法にて検討したところ,tumor depositは陽性であっても局所再発を抑制することが可能であった.傍神経浸潤は陽性であれば遠隔転移再発は有意に認めており,術前化学放射線療法の効果の限界は,傍神経浸潤の制御にあると考察された.遠隔転移に関連する傍神経浸潤への薬剤等のアプローチにより,術前化学放射線療法の予後改善に寄与する可能性がある.
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