演題

胸腔鏡下食道切除術における術後合併症と予後との検討

[演者] 三浦 由紀子:1
[著者] 中村 哲:1, 山本 将士:1, 金治 新悟:1, 松田 佳子:1, 松田 武:1, 押切 太郎:1, 角 泰雄:1, 鈴木 知志:1, 掛地 吉弘:1
1:神戸大学大学院 食道胃腸外科学

【背景】近年,食道癌においても術後合併症が予後に影響を与えることが報告されている.一方,食道癌に対する胸腔鏡下手術は,その低侵襲性とともに肺合併症低減に有用とされている.術後合併症の予後に対する影響を明らかにすることは,根治性の追求だけでなく術後合併症を低減させる手術手技の確立する上においても重要である.
【目的】食道癌に対する胸腔鏡下食道切除術を対象として術後合併症と予後との関連を明らかにする.
【対象と方法】2005~2015年に胸腔鏡下での根治切除を行った胸部食道癌270例(平均年齢65.8歳,男女比223:47,観察期間中央値36.8ヶ月)を対象とした.Clavien-Dindo分類Grade2以上の縫合不全・感染性肺合併症・反回神経麻痺のいずれかの術後合併症の発生の有無により,患者背景やcancer-specific survival(CSS),overall survival(OS)について比較検討した.
【結果】いずれかの合併症があったのは91例(33%)で,その内訳は縫合不全38例(14%),感染性肺合併症54例(20%),反回神経麻痺35例(13%)であった.いずれかの合併症がある群とない群で患者背景に有意差は認めなかった.OSでの3年生存割合は合併症ありの群が64%で,ない群の75%より低く,有意差を認めた.各合併症ごとの比較では縫合不全あり69%,なし72%,肺合併症あり59%,なし75%,反回神経麻痺あり68%,なし72%であり,肺合併症のみ有意差を認めた.CSSでの3年生存割合は合併症あり76%,なし80%,縫合不全あり84%,なし77%,肺合併症あり73%,なし80%,反回神経麻痺あり80%,なし78%であり,OSと同様に肺合併症のみ有意差を認めた.
【考察】食道癌術後の感染性肺合併症の併発は予後を悪化させた.また縫合不全は有意差を認めないもののOS,CSS共に悪化する傾向にあり,症例数を蓄積してさらに検討を続ける必要があると考える.
【結語】食道癌に対する胸腔鏡手術において,縫合不全や肺合併症は予後を悪化させる可能性があるが,一過性の反回神経麻痺については予後に影響しなかった.
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