演題

食道癌根治術後経過観察中の呼吸器合併症の検討

[演者] 丹羽 由紀子:1
[著者] 小池 聖彦:1, 岩田 直樹:1, 高見 秀樹:1, 林 真路:1, 山田 豪:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 藤井 努:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【はじめに】
近年食道癌の術後成績は向上し,根治切除例では約50%の5年生存率が得られるようになった.しかし長期予後の向上とともにQOLを損ないかねない様々な問題が生じている.そのひとつが術後嚥下機能障害による誤嚥性肺炎である.
【目的】
食道癌根治術後の中期経過観察期間における肺炎累積発症率および,肺炎発症のリスク因子を明らかにする.
【方法】
2011年1月から2015年12月までに右開胸食道亜全的術を施行した食道癌患者232名のうち術後6ヶ月以上経過観察を行うことのできた200名を対象とした.肺炎は,臨床症状を認めた顕性肺炎および臨床症状がなくフォロー中のCT画像で指摘しえた不顕性感染の肺炎の両者とした.肺炎発症のリスク因子をCox比例ハザードモデルを用いて単変量および多変量解析を施行した.
【患者背景】
年齢中央値(範囲)は66.5(43-84)歳,男性166名女性34名.95名(47.5%)に併存疾患を認め,7名(3.5%)に呼吸疾患が併存していた.局在 (Ce/Ut/Mt/Lt)はそれぞれ2/23/114/60名であり,pStage(0/1/2/3/4,UICC7th)は,14/71/58/49/8名であった.再建経路は,胸骨後経路41名(20.5%)後縦隔経路126名(63%)胸壁前経路33名(16.5%)であった.頚部郭清を施行したのは64名(32%)であり,周術期合併症(CD分類GradeII以上)は65名(32.5%),このうち周術期肺炎は18名(9%)であった.
【結果】
経過観察中の肺炎累積発症率は術後1年で32.0%,術後2年で50.5%であった(観察期間中央値は29.7ヶ月).単変量解析において,呼吸器疾患の併存(ハザード比2.47; 95%信頼区間 0.96-5.23,p=0.006)と胸壁前経路再建(ハザード比1.85; 95%信頼区間 1.13-2.90, p=0.017)が有意な肺炎発症のリスク因子であった.多変量解析においては,胸壁前経路再建のみが唯一独立した肺炎発症のリスク因子であった(ハザード比1.74; 95%信頼区間 1.05-2.76, p=0.032).
【結論】
術後2年の累積肺炎発症率は50.5%であり,胸壁前経路再建が独立した肺炎発症のリスク因子であった.
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