演題

食道癌術後胸腔ドレーンの細径化が術後管理に及ぼす影響

[演者] 山下 剛史:1
[著者] 村上 雅彦:1, 大塚 耕司:1, 五藤 哲:1, 伊達 博三:1, 茂木 健太郎:1, 加藤 礼:1, 藤森 聰:1, 渡辺 誠:1, 青木 武士:1
1:昭和大学医学部 消化器・一般外科学

【背景】1996年から食道癌に対して左側臥位VATS-Eを導入し,約800例を経験した.再建は,胸骨後経路で亜全胃管を用いた頸部食道胃管吻合を標準術式としてきた.周術期リハビリにおいては,早期離床と呼吸訓練を可能とすべく,ドレーン留置は最小限とし,胸腔ドレーンは1本のみとしている.しかし,胸腔ドレーン留置においてはドレーン刺入部痛がリハビリの妨げとなり,ドレーン細径化を図ってきた.VATS-E導入後,24Fr chest drainから19Fr Blake Drain,そして15Frへと細径化をすすめた.さらに,術後第1病日まで15Fr Blake Drainで,それ以降は8Fr アスピレーションカテーテルを用いた独自の胸腔ドレーン管理(15+8Fr法)を導入し,手術手技の安定,定型化した周術期管理により良好な手術成績が得られるようになった.現在はさらにコスト面を考慮し,2015年3月から10Fr Blake Drain1本での術後胸腔ドレーン管理(10Fr法)を行っている.今回,食道癌術後細径胸腔ドレーン管理の有用性につき術後合併症予防の点から後方視的に検討した.【方法】2015年3月から2016年10月までに10Fr法を行った計102例を分析し,既報の15+8Fr法(2010年8月~2014年12月)の計286例と比較した.【結果】10Fr法,15+8Fr法それぞれで,ドレーン留置期間3.87±3.17日,5.68±3.70日(p<0.0010),術後平均在院日数は22.15±17.58日,19.37±11.15日,手術合併症では,縫合不全(Clavien-Dindo分類(以下,CD)>Ⅲa)6例(5.45%),5例(1.75%)(p=0.04),肺炎(CD>Ⅱ)7例(7.27%),19例(6.64%),ドレーン抜去後の胸水貯留(CD>Ⅲa)は13例(11.82%),12例(4.2%)(p=0.0082),気胸(CD>Ⅲa)1例(0.9%),3例(1.05%),反回神経麻痺 6例(5.4%),10例(3.5%)であった.15+8Fr法と比較し,ドレーン留置期間は有意に短縮しているが,胸水穿刺は有意に増加した.【考察】10Fr法では15+8Fr法と比較し,早期にドレーン抜去が行われていた.その原因として脇漏れや刺入部痛が考えられたが,早期ドレーン抜去に伴い,適時胸水穿刺が必要となった.【結論】食道癌術後における胸腔ドレーンの細径化は,合併症を増加させる事無く早期離床の一助となったが,抜去後の胸水穿刺という欠点もあり,さらなる検討が必要である.
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