演題

局所進行下部直腸癌に対する術前化学放射線療法の長期成績と新たな治療戦略

[演者] 東島 潤:1
[著者] 石川 大地:1, 柏原 秀也:1, 高須 千絵:1, 西 正暁:1, 吉川 幸造:1, 島田 光生:1
1:徳島大学病院 消化器・移植外科

【はじめに】進行下部直腸癌に対する治療戦略として,我々はこれまでに5-FU系単剤を用いた術前CRTを施行してきた.更なる奏効率の向上を目指して近年はS-1/ Oxaliplatin /Bevacizumab(SOX+Bev) 併用術前CRT療法の第2相試験に取り組んでいる.これまで集積した症例の長期予後について検討し,CRTの妥当性について検討し,新規療法の現在までの結果について提示する.
【対象・方法】①進行下部直腸癌に対して5-FU系単剤によりCRTを施行した75例を対象に奏効率,長期予後,再発形式について検討した.
②SOX+Bev によるCRT施行25例を対象として,臨床・病理学的奏効率について比較検討した.
5-FU系単剤 群は5-FU(400mg/m2), S-1(80mg/m2),UFT(300mg/m2),SOX+Bev 群はS-1(80mg/m2),Oxaliplatin(40-60mg/m2),Bevacizumab(5mg/kg)に体外4門照射40Gyを併用した.
【結果】①CRT前Stageの内訳は1/2/3a/3b=8/22/25/20であった.
RECIST判定はCR/PR/SD/PD=1/39/35/0,臨床学的奏効率は(CR,PR) は53.3%
であった.組織学的Gradeは0/1a/1b/2/3=2/25/17/24/7,組織学的奏効率(Grade2,3) は41.3%,pCR 率は9.3%であった.Stage別の5年全生存率はStage I 87.5%,Stage II 94.7%,Stage IIIa 87.3%,StageIIIb 64.3% 5年無再発生存率はStage I 87.5%,Stage II 81.8%,Stage IIIa 66.4%,StageIIIb 65.0%であった.StageII,III症例の全生存率は全国集計dataと比較しても遜色ない結果であった.再発形式の内訳はリンパ節を含めた局所9例,遠隔転移15例(肝臓7例,肺8例,遠隔リンパ節2例,重複あり)で,局所再発率は12%であった.
②RECIST判定はCR/PR/SD/PD=1/18/6/0,臨床学的奏効率(CR,PR) は76%で奏効率であった.組織学的Gradeは1a/1b/2/3=4/6/10/5,組織学的奏効率(Grade2,3) はSOX+Bev 群:60%,pCR 率は20%であった.短期間の観察ではあるが,現在のところ遠隔転移を1例に認めるのみである.
【結語】5-FU系単剤での成績は良好であるが,遠隔転移への対策が必要で,SOX+Bev併用術前CRTはS-1,UFT併用療法に比し,高い奏効率,pCR率が得られ,遠隔転移制御を含め,予後を改善する可能性がある.
詳細検索