演題

食道癌の周術期疼痛管理における高容量アセトアミノフェン静注定時投与の有効性と安全性の検討

[演者] 川上 次郎:1
[著者] 安部 哲也:1, 植村 則久:1, 細井 敬泰:1, 伊藤 誠二:1, 小森 康司:1, 千田 嘉毅:1, 三澤 一成:1, 伊藤 友一:1, 清水 泰博:1
1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科

【はじめに】周術期疼痛管理において高容量acetaminophen静注定時投与の有効性が指摘されているが,食道癌周術期での有効性と安全性は不明である.一方NSAIDsは粘膜障害や腎障害などの副作用が懸念される.2015年8月より食道癌周術期疼痛管理に高容量acetaminophen静注定期投与を導入した.その有効性と安全性を検討する.【対象と方法】2014年4月から2016年7月まで食道癌に対し食道切除(右開胸または胸腔鏡下),胸骨後胃管再建を103例に行った.疼痛管理は硬膜外を2本使用し,2014年4月から2015年7月まではNSAIDs(Loxoprofen)を術後2日目より経腸投与した(N群).2015年8月から2016年7月はacetaminophen1000mg(体重50kg未満700mg,40kg未満500mgに減量)を術直後から6時間毎に定期投与した(A群).疼痛コントロールができない場合はfentanylまたはBuprenorphineの持続投与を併用した.疼痛評価は開胸,VATSに分けて安静時VAS(visual analog scale,胸部: chest-VAS, 腹部: abd-VAS), レスキュー使用状況, 離床までの時間を検討した.両群で患者背景(性別,年齢,BMI,ASA分類,呼吸機能,腫瘍占居部位,cStage,術前治療の有無),肝障害,腎障害,術後合併症を検討した.【結果】両群で硬膜外,fentanyl,Buprenorphineの使用状況に差はなかった.VATS症例でchest-VAS (4, 5, 6POD), abd-VAS (1, 4, 6POD)がいずれもA群で有意に低下した (chest-VAS: A/N群, 10/22.5 (4POD, p<0.001), 10/20 (5POD, p=0.007), 10/20 (6POD, p=0.02), abd-VAS: A/N群, 20/42 (1POD, p=0.001), 11/25 (4POD, p=0.01), 14/30 (6POD, p=0.002)).初回レスキューまでの時間がA群で有意に延長(A/N群: 15/8.5hr (p=0.035)),レスキュー回数(2POD)がA群で有意に減少した(A/N群: 0/1, p=0.014).開胸症例ではいずれも有意差はなかった.患者背景のうち年齢はN群が有意に若く(A/N群: 68.5/65.0, p=0.026),腫瘍占居部位はA群で有意にMtが多かった(A/N群, Ce:Ut:Mt:Lt:Ae: 1:14:24:14:0/1:5:20:21:3, p=0.041).他の患者背景に両群で差はなかった.肝障害,腎障害は両群で差はなかった.術後合併症は縫合不全がA群で減少した(A/N群: 1.9% /14%, p=0.025).【結語】食道癌周術期疼痛管理において高容量acetaminophen静注定時投与は肝障害を増加させずに,VATS症例で安静時VASを有意に改善した.またactaminophenは粘膜血流障害が少ないことから,縫合不全減少との関連が示唆された.
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