演題

食道癌手術症例における腸瘻造設に関連した合併症に関する検討

[演者] 宗岡 悠介:1
[著者] 市川 寛:1, 羽入 隆晃:1, 大渓 隆弘:1, 石川 卓:1, 永橋 昌幸:1, 坂田 純:1, 小林 隆:1, 亀山 仁史:1, 若井 俊文:1
1:新潟大学大学院 消化器・一般外科学

【背景】当科ではこれまで,食道癌手術症例の術後の栄養管理目的に空腸経由での腸瘻造設を施行してきた.しかし,腸瘻造設に関連した重度の合併症を経験し,2014年より胃管経由での腸瘻造設を導入している.今回,空腸経由と胃管経由の腸瘻関連合併症について比較し,その内容について検討した.
【対象と方法】2009年1月から2016年11月までに,当科で食道癌に対して食道切除を施行し,術中に栄養管理目的に腸瘻を造設した99例 (男性76例,女性23例,年齢中央値68歳)を対象とした.対象を空腸経由群(J群)77例と胃管経由群(G群)22例に分け,腸瘻関連合併症の発生頻度とその詳細について,後方視的に検討した.当科における腸瘻造設の方法として,空腸経由では上部空腸から12Frカテーテルを刺入し,約30cm程度空腸内に挿入するWitzel法で施行している.また,胃管経由では胸骨後経由で挙上した胃管前庭部より同カテーテルを刺入し,先端を空腸内に留置するStamm法で施行している.
【結果】合併症全体では,J群で6例(7.9%),G群で3例(13.6%)と,G群のほうが合併症発生頻度が高かった.しかし,Clavien-Dindo分類でGrade II以上のものに限ると,J群で5例(6.6%),G群で1例(4.5%)と,J群のほうが高頻度であった.合併症の詳細は,J群では6例全例が腸瘻瘻孔部に起因したイレウスであり,G群では3例全例が腸瘻カテーテル刺入部のSSIであった.腸瘻造設術からイレウス発症までの期間は中央値248日(範囲86-402日)であり,全例が食道切除術後退院した後に発症していた.また,イレウスを発症した6例のうち5例で手術治療を要しており,そのうちの1例は術後にARDSをきたし,死亡していた.腸瘻カテーテル刺入部のSSIは1例で抗生剤投与を要したが,2例は創処置のみで改善した.
【結語】当科における食道切除症例に対する腸瘻造設に関連した合併症として,空腸経由群ではイレウスを,胃管経由群ではカテーテル刺入部のSSIを認めた.合併症の程度は胃管経由群で軽度であり,今後は胃管経由での腸瘻造設を第一選択とするが,カテーテル刺入部のSSIの予防策について,検討を要すると考える.
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