演題

食道癌術後胃管気管瘻の治療経験

[演者] 廣津 周:1
[著者] 菊池 寛利:1, 村上 智洋:1, 松本 知拓:1, 尾﨑 裕介:1, 川端 俊貴:1, 平松 良浩:1, 坂口 孝宜:1, 神谷 欣志:1, 今野 弘之:2
1:浜松医科大学医学部 外科学第二, 2:浜松医科大学

【はじめに】胃管気管痩は食道癌術後の後縦隔経路再建に特異的な合併症で稀な病態であるが,一度発生すると肺炎を合併し致死的となり得る.今回,胃管気管瘻の3症例を経験したので報告する.
【症例1】57歳男性.胸部食道癌cStageIIに対し,術前化学療法の後,右開胸開腹食道亜全摘,3領域郭清,後縦隔経路胃管再建,腸瘻造設術を施行.術後縫合不全を生じ,7PODに縦隔膿瘍ドレナージ術を施行.ドレナージ良好であったが,10PODに呼吸困難となり,胃管気管瘻と診断.緊急で食道胃管吻合部切除および胃管の大網を充填し気管形成術を施行.48PODに胸壁前経路右結腸再建術を施行.術後縦隔内に残存した食道断端の縫合不全を生じ,113PODに縦隔内残食道切除術を施行.183PODに食事摂取開始し,201PODに退院.
【症例2】68歳女性.胸部食道癌cStageIIに対し,術前化学療法の後,胸腔鏡腹腔鏡下食道亜全摘,3領域郭清,後縦隔経路胃管再建術を施行.4PODより上気道の狭窄音と喘鳴が出現.CTで胃管が気管を背側から圧排し気道狭窄を生じており,気胸と縦隔気腫も認めた.縦隔膿瘍やドレーンの混濁は認めず.10PODに呼吸困難が増悪し再挿管.気管支鏡で気管狭窄を認め,気管切開後に狭窄部を越えて気管チューブを挿入し気道確保.呼吸状態は改善したが,気管支鏡および消化管内視鏡で胃管気管瘻と診断.呼吸状態が安定しており,縦隔膿瘍もなく炎症反応も軽度であったため,腸瘻造設し保存的治療を行った.内視鏡下で胃管側にネオベールシート留置とフィブリン糊散布を繰り返し行い,189PODに瘻孔閉鎖を確認.227PODに退院.
【症例3】71歳女性.胸部食道癌cStageIIに対し,術前化学療法の後,胸腔鏡腹腔鏡下食道亜全摘,3領域郭清,後縦隔経路胃管再建術を施行.6PODより炎症反応上昇とドレーンの混濁を認め,CTで食道胃管吻合部の縫合不全と診断.縦隔膿瘍はなくドレナージ良好のため保存的治療を行った.21PODの消化管造影X線および内視鏡で胃管気管瘻と診断.内視鏡下で胃管側にネオベールシート留置とフィブリン糊散布を繰り返し行い,28PODに瘻孔部閉鎖を確認.47PODに退院.
【考察】胃管気管瘻の多くは呼吸状態不良のため緊急手術を要し,胃管切除や筋弁間置などにより消化管と気管の再疎通を回避することが重要である.一方,呼吸状態が安定しており保存的治療が可能な症例も少数だが存在し,正確な病態の把握に基づいた適切な治療法の選択が重要である.
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