演題

食道癌術後の縫合不全に伴う膿胸に対する治療の工夫

[演者] 中島 哲史:1,2
[著者] 尾形 高士:1, 前澤 幸男:1, 神尾 一樹:1, 池田 耕介:1, 山田 貴允:1, 長 晴彦:1, 吉川 貴己:1
1:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 2:東京医科大学病院 消化器外科・小児外科

【はじめに】食道癌術後縫合不全に伴う膿胸は重篤な合併症であり,重症度に応じたドレナージ術を施行する必要があり,開胸ドレナージなど侵襲の高い治療が必要となることも稀ではない.我々は経鼻上部消化管内視鏡を用いて経鼻経瘻孔的に膿胸をドレナージする保存的療法を第一選択としている.その手技と結果について報告する.【方法】身体所見,血液検査,CTなどの画像検査から縫合不全に伴う膿胸が強く疑われた場合,我々は透視室において速やかに二酸化炭素送気で経鼻上部消化管内視鏡を用いて透視室にて吻合部の観察を行っている.縫合不全部から膿瘍腔への入口を確認できた場合,そのままドレナージチューブ挿入の手技へ移行している.膿瘍腔を内視鏡観察や造影剤を使用して評価し,ガイドワイヤーを用いてドレナージチューブを膿瘍の最深部まで進めて留置する.経鼻内視鏡で観察を行っているので,ドレナージチューブは経鼻ルートとなり,膿瘍の原因である縫合不全部を必ず通過し,先端は膿瘍腔の最も奥から治療を開始することができる.ドレナージチューブは機械を用いて持続吸引を行い,適宜医師が用手吸引を行い,保存的に加療している.我々はこの方法を経鼻経瘻孔ドレナージと呼んでいる.【結果】上記手技を用いて現在まで4例を治療した.1例でドレナージ不良のため体表ドレナージの追加を要したが,手術が必要であった症例はなく,ICU管理が必要な症例もなかった.4例全て軽快退院され,上記ドレナージ開始後から退院までの中央値は61(33-104)日であった.【まとめ】食道癌術後縫合不全に伴う膿胸に対し,経鼻経瘻孔ドレナージによる保存的治療は有効な治療法であると思われた.
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