演題

食道癌術後縫合不全に対し経鼻・経食道胃吻合部ドレナージ療法により軽快した3例

[演者] 森 直樹:1
[著者] 田中 寿明:1, 的野 吾:1, 日野 東洋:1, 門屋 一貴:1, 西田 良介:1, 最所 公平:1, 赤木 由人:1
1:久留米大学医学部 食道外科

【背景】食道癌切除後縦隔胃管再建術後に縫合不全が発症すると膿胸,縦隔炎などを併発し,ドレナージが不良の際には生命への危険を伴うこともある.我々は後縦隔胃管再建術後の縫合不全による膿瘍腔形成に対し,経食道胸腔ドレナージを行っている.【症例1】67歳男性.嚥下時痛精査で食道癌(LtMt, cT1bN0M0 cStage I)と診断.右開胸開腹食道亜全摘,2領域リンパ節郭清,後縦隔胃管再建術を施行.術後造影検査では食道胃吻合部に縫合不全は存在しなかったが,経口摂取開始後の11病日に左頸部皮膚切開創から排膿を認め,16病日に再度の造影検査によって食道胃吻合部に縫合不全を認めた.造影剤は吻合部の左右壁に漏れ,左側はペンローズドレーンよりドレナージ良好であったが,右側は膿胸となっていた.経鼻ドレナージチューブ(以下DT)を食道胃吻合部を介して留置し,間歇持続吸引での管理を行った.術後72病日に縫合不全の治癒を確認.経口摂取再開後に吻合部狭窄があり拡張術を行い,125病日に軽快退院.【症例2】65歳男性.健診異常の精査で食道癌(UtCe, cT1bN0M0 cStage I )と診断.右開胸開腹食道亜全摘,3領域リンパ節郭清,後縦隔胃管再建術を施行.8病日の造影検査で食道胃吻合部に縫合不全を認めた.縫合不全は食道胃吻合部左側に認め,ドレナージおよび経鼻栄養カテーテルによる管理を開始したが,12病日に呼吸状態悪化を認め人工呼吸器管理となった.同日再度造影検査を行うと縫合不全が右側にも拡大し,右肺尖部と瘻孔ならびに膿瘍腔形成がみられた.経鼻減圧チューブを挿入し,間歇持続吸引で管理を行った.22病日に人工呼吸器管理から離脱.52病日に縫合不全の治癒を確認し,右肺尖部へのDTのサイズダウンを行い,59病日に抜去した.80病日から経口摂取を開始し,87病日に軽快退院.【症例3】73歳男性.胸部つかえ感精査で食道癌(Lt, cT3N0M0 cStageII)と診断.右開胸開腹食道亜全摘,2領域リンパ節郭清,後縦隔胃管再建術を施行.術後ARDSを発症し,気管切開による人工呼吸器管理を要した.14病日の造影検査で吻合部背側に縫合不全とそれに連続する膿瘍腔を認め,DTを挿入した.56病日に縫合不全治癒を確認し,経口摂取を再開のあと78病日に経過退院.【考察】欧米では食道胃吻合部縫合不全に対しステント留置も施行されているが,本邦では稀である.経鼻的な経食道胃吻合部ドレナージは縫合不全により発症した膿瘍腔に対する治療として有用である.
詳細検索