演題

術前化学放射線治療を施行した局所進行直腸癌の治療成績 ―再発部位と生存予後―

[演者] 鈴木 俊之:1
[著者] 齋藤 剛太:1, 岡田 和丈:1, 田中 彰:1, 中郡 聡夫:1, 小澤 壯治:1, 貞廣 莊太郎:1
1:東海大学付属病院 消化器外科

【はじめに】
局所進行直腸癌に対する国際的標準治療は術前に放射線治療を併用する集学的な治療である. 私たちは, 直腸癌の局所再発を抑制し予後を改善する目的で, 術前化学放射線治療 (CRT) 後TME手術を行う集学的治療を施行し, 側方郭清は行っていない. 集学的治療によって腫瘍は縮小し括約筋温存率が増加する. また, 組織学的効果が顕著な症例では遠隔転移も少なく予後は良好である. しかし, CRT後組織効果が乏しい症例, 側方リンパ節腫大症例では遠隔転移が多く予後不良である. そこで, 術前CRTを用いた局所進行直腸癌症例の再発形式, 生存率を検討した.
【対象・方法】
2007年3月から2015年12月までにCRT後手術を行ったcStage II,IIIの中下部直腸腺癌209例を対象とした. 術前CRTは総線量40/45Gy (1.8-2.0Gy, 20-25回) で, UFTあるいはTS-1を併用し, 外来で行っている. 手術はCRT終了6 - 8週後に行い, 側方郭清は行っていない. 術前リンパ節転移診断にはMRIを用い, 短径5mm以上を陽性とした. 切除標本の組織学的効果はTRG (Tumor regression rgade) を用い, 腫瘍縮小率は注腸造影から算出した.
【結果】
肛門を温存した症例は157例で, 中部直腸癌 (AV>5cm) ではすべてに, 下部直腸 (AV≦5cm) では60例 (54%) に温存された. 肛門温存例は, 組織学的に効果の高い症例 (Grade1,2) 87例中73例 (84%), 効果の低い症例122例中84例 (69%) で効果の高い症例で有意に多く(p=0.01), 縮小率も有意に大きかった (p<0.01). 観察期間の中央値は54ヶ月で, 初発再発部位は骨盤内局所再発6例 (3%) (側方向2例, 仙骨前面4例), 遠隔転移は50例 (24%) で肺転移20例 (10%), 肝転移18例 (9%), 遠隔リンパ節転移8例 (4%)であった. CRT前側方リンパ節陽性例は202例中29例 (14%) で, 再発は側方向領域に2例 (7%), 遠隔転移10例 (34%) であった. downstageを認めたypStage 0/I の5年DFSは82%で, ypStage II/IIIの65%より有意に良好であった (p<0.01). 5年OSも各々90%, 80%で有意に良好であった (p=0.05).
【まとめ】
中下部進行直腸癌に対する術前CRTにより骨盤内の局所再発率は3%に減少し, 5年DFS, OSの改善が見られた. 側方リンパ節転移陽性例でも局所再発は抑制されたが遠隔転移が多かった.
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