演題

バレット食道癌の手術適応と至適リンパ節郭清

[演者] 川田 研郎:1
[著者] 河野 辰幸:1, 中島 康晃:1, 東海林 裕:1, 星野 明弘:1, 岡田 卓也:1, 久米 雄一郎:1, 奥田 将史:1, 川村 雄大:1, 山口 和哉:1
1:東京医科歯科大学附属病院 食道外科

背景
本邦における食道癌の9割以上が扁平上皮癌で,バレット食道腺癌は少ない.しかし,食生活の欧米化やピロリ菌除菌による影響でバレット食道腺癌の増加が危惧されている.最近ではバレット食道表在癌へのESDが普及しつつある.
目的
バレット食道癌の臨床病理学的特徴を明らかにし,手術適応と至適リンパ節郭清範囲について考察する
対象と方法
1989年から2016年10月までに前治療なく内視鏡治療または手術を行ったバレット食道癌58例60病変(男性48例,女性10例,平均年齢64.3歳,30-88歳)を対象とし,臨床病理学的特徴について検討した.
結果 SSBE由来39例,LSBE由来19例で42例44病変に内視鏡治療,23例に根治手術(うち内視鏡後の追加治療7例)を行った.手術例の術式は左開胸下部食道噴門側胃切除11例,右開胸食道亜全摘5例,鏡視下食道亜全摘5例,非開胸食道抜去2例であった.粘膜癌は27病変(T1a-SMM: 11病変,T1a-DMM:16病変)で,大きさの中央値は20mm(4~65mm)であった.うち4例に手術を行い,T1a-DMMの1例(6.3%)にリンパ節転移(#110,#3)陽性であった.粘膜下層癌は24病変で大きさの中央値は24mm(12~42mm)であった.sm1を粘膜筋板から500μmとするとsm1が10病変,sm2以深が14病変であった.うち11例に手術を行った.sm2以深の3例に転移陽性(21.4%)であり,転移リンパ節は全例腹部リンパ節#3(3例),#1(1例)#7(1例),#8p(1例)であった.進行癌は9例あり.男性8例,女性1例,平均年齢65歳.8例(88.9%)に転移陽性で転移部位は2領域:7例,腹部のみ:1例で,5例に頸部~上縦隔にリンパ節転移陽性であった.転移個数4~8個:4例,10個以上5例と転移個数の多い症例が多かった.脈管侵襲はM癌で2例(7.4%),SM癌で15例(62.5%),進行癌で全例(100%)に陽性,組織型では深達度が深くなるにつれてpor~sig成分を多く含み,M癌で3例11.1%,SM癌で9例37.5%,MP以深で6例66.7%に含まれていた.脈管侵襲陰性,分化型腺癌でM~sm1までの28例にリンパ節転移はなく,条件によっては粘膜下層癌の一部に内視鏡治療の適応を拡大できる可能性がある一方,進行癌では転移個数が多く,3領域郭清を考慮する症例も少なくなかった.
結語 バレット食道進行癌では頸部上縦隔を含むリンパ節転移を生じる例も散見され,占拠部位によっては扁平上皮癌に準じた術式の選択が望ましいと思われる.
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