演題

食道胃接合部腺癌手術症例の至適郭清範囲の検討

[演者] 北原 正博:1
[著者] 武田 茂:1, 兼清 信介:1, 飯田 通久:1, 坂本 和彦:1, 鈴木 伸明:1, 上野 富雄:1, 吉野 茂文:2, 硲 彰一:3, 永野 浩昭:1
1:山口大学大学院 消化器・腫瘍外科学, 2:山口大学附属病院 腫瘍センター, 3:山口大学医学部 先端がん治療開発学

【目的】当科における食道胃接合部腺癌切除症例での至適郭清範囲を臨床病理学的に検討した.
【対象】2000年1月から2016年6月の間に当科で手術加療したEGJより上下2cmに中心を有する食道胃接合部腺癌35例を対象とした.R2切除例は除外した.
【結果】全症例の観察期間中央値は1525(186-4013)日,5年全生存率は74.0%であった.年齢中央値は70歳(35-87),男性32例,女性3例であった.分化型腺癌29例,Barrett腺癌を9例に認めた.腫瘍径中央値は35 (12-80)mm,食道浸潤長中央値は10(0-30)mmであった.占拠部位はE:1例,EG:9例,GE:19例,G: 6例であった.手術アプローチは右開胸5例,左開胸2例,縦隔鏡下2例,経腹が26例であった.食道亜全摘噴門切除が7例,下部食道噴門側切除が2例,下部食道胃全摘が15例,胃全摘が10例に施行され,No.16a2b1lateroリンパ節の郭清は9例で行われていた.リンパ節転移陽性は19例(54.3%),内訳はNo.3:13例(37.1%),No.7:9例(25.7%),No.1:8例(22.9%),No.2:5例(14.2%),No.8a:3例(8.5%),No.9:2例(5.7%),No.11d:1例(2.8%),No.12a:1例(2.8%),No.16:1例(2.8%), No.107:1例(2.9%),No.110:1例(2.9%)であった.縦隔リンパ節転移を認めた症例は脈管侵襲を伴うバレット食道腺癌で食道浸潤長が25mmの症例であった.転移率×転移陽性患者の5年生存率で評価した郭清効果indexは,No.3,1,2,7,9の順に高く,郭清症例数が少ないもののNo.16は郭清効果index11.1と比較的高い郭清効果を認めた.再発症例は7例(34.3%)で,傍大度脈リンパ節再発3例,腹腔動脈周囲リンパ節再発2例,縦隔リンパ節再発2例,肝転移が1例,播種再発が1例であった.
【まとめ】噴門ならびに小弯リンパ節の郭清は必須で,転移頻度の高い左胃動脈,腹腔動脈の郭清が重要である.右胃,右胃大網動脈領域,脾門部のリンパ節転移は認めず,脾温存での噴門側胃切除や胃管再建での胃温存術式での対応で可能であると思われた.また,症例数が少ないものの傍大動脈リンパ節の郭清効果は高く,その意義は今後の検討が必要と思われた.
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