演題

後縦隔経路再建胃管癌に対し胃管全摘術を行った8例

[演者] 深谷 昌秀:1
[著者] 宮田 一志:1, 檜垣 栄治:1, 川合 亮祐:1, 浅井 宗一郎:1, 山﨑 公稔:1, 江畑 智希:1, 横山 幸浩:1, 伊神 剛:1, 梛野 正人:1
1:名古屋大学大学院 腫瘍外科学

<背景>胃管癌の手術は,合併症率,在院死亡率が高く危険度が高い.特に後縦隔経路再建胃管癌は胸腔内の癒着が高度で手術は困難を極める.また他の再建経路と比べると報告は非常に少ない.<目的と方法>今回我々は2007年1月から2016年5月の間に後縦隔再建胃管癌切除症例を8例経験したので短期手術成績,術後合併症について検討した.<術式>初回手術は全例胃管再建胸腔内吻合.今回の手術は全例右開胸開腹胃管全摘胸壁前経路有茎空腸再建を行った.3例は,術中出血傾向のため再建は後日に行い分割手術にした.<結果>平均年齢70歳(61-78歳)全例男性,平均開胸時間7時間8分(5時間10分-7時間58分)平均開胸出血量1928ml(335-4080ml)平均全手術時間16時間54分(11時間44分-25時間58分)平均全出血量3432ml(910-7409ml)術後肺炎は8例中7例(88%)で,1例重症肺炎のため1例両側反回神経麻痺のため気管切開を行った.縫合不全は1例(12.5%)であった.反回神経麻痺は2例(25%)で,両側反回神経麻痺であった.在院死亡は認めなかった.平均在院日数61日(24-97日)初回手術からの胃管癌の発見までの期間は平均8年11ヶ月(1年2ヶ月-20年6ヵ月)であった.<考察>後縦隔再建後の胃管全摘では,胃管と周囲組織との癒着剥離が問題となる.今回の8例いずれも癒着剥離に難渋し開胸時間が長くなり,出血量も多かった.3例はもともとのアルコール性肝障害のためか,出血量1000mlを超えたところで術中フィブリノーゲンの著明な低下をおこし,出血傾向のため分割手術となった.フィブリノーゲン,FFP,血小板等の輸血で何とか止血が可能な状態となり,胃管切除だけを行い,再建は後日とした.8例中4例では頚部郭清も行われていたので,頚部からの食道の引き出しに難渋した.2例は両側反回神経麻痺を起こしてしまった.在院死亡は認めなかったが,術後在院日数は長かった.胃管癌の8例中7例は術後5年以降に発生していた.<結語>後縦隔経路再建胃管癌はひとたび手術となると,手術は困難を極めるので,ESDで切除可能な早期癌のうちに発見するため,術後5年以降も定期的な内視鏡検査による経過観察が必要である.また癒着剥離による手術時間の著明な延長,出血傾向等難渋する場合は,再建は後日にし,分割手術にするのも安全性向上のための一つの手段である.
詳細検索