演題

食道癌術後異時性残食道癌の臨床病理学的検討

[演者] 川村 雄大:1
[著者] 川田 研郎:1, 中島 康晃:1, 東海林 裕:1, 星野 明弘:1, 岡田 卓也:1, 奥田 将史:1, 久米 雄一郎:1, 山口 和哉:1, 河野 辰幸:1
1:東京医科歯科大学大学院 消化管外科学

【背景】食道はfield cancerizationの見地から同時性異時性に多発癌,重複癌が生じることが知られている.近年,食道癌の手術成績の向上に伴い,術後長期生存例における異時性の頭頸部重複癌や残食道癌の取り扱いが課題となっている.
【目的】食道癌術後残食道に生じた表在癌の治療成績を明らかにする.
【対象と方法】2005年4月~2015年3月までの,食道癌術後異時性残食道癌内視鏡治療例14例15病変(男性13,女性2).
【結果】内視鏡治療時平均年齢は68.9歳(61~80歳).7病変は初回手術後5年以内に発見され,8病変は初回手術後6年以降に発見された.うち6病変は術後10年以上経過してから発見され,最長は術後22年目でった.内視鏡的病型は0-IIc:4病変,0-IIb:4病変,0-Is:4病変,0-IIc+0-IIa:3病変.大きさ別では10mm以下:4病変,10-20mm:2病変,20-40mm:2病変,40mm以上:4病変であった(APCを施行した3病変を除く).治療法はESD:6病変,EMR:6病変,APC:3病変であった.病理学的深逹度はT1a-EP:4病変,T1a-LPM:1病変,T1a-MM:2病変,T1b-SM2:4病変であった(APCを施行した3病変と,咽頭食道接合部病変の1例を除く).T1a-MM以深の症例では病理組織学的所見をもとに追加治療を検討したが,初回手術の際に3領域リンパ節郭清を既に施行していることより,5例は厳重に経過観察とし,SM2・VM+の1例に追加化学放射線療法を行った.現時点でリンパ節・遠隔転移再発を認めていない.また,残食道癌発見時SM癌で耐術能に乏しく姑息的にAPCを繰り返した1例では,局所制御不良のために,化学放射線療法を施行し,一旦CRを得たものの再燃し原病死した.その他の症例に再発はなく良好な予後を得ている.
【結論】術後長期間を経て発生する食道癌術後の残食道癌を多数経験した.早期発見できれば内視鏡治療でおおよそ制御可能であったが,追加治療の選択を迷う症例も経験した.早期発見が重要であり,術後の定期検査は可及的に継続することが望ましいと考えられた.
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