演題

pT4a食道癌における手術成績

[演者] 松井 俊大:1
[著者] 鈴木 邦士:1, 千葉 哲磨:1, 三浦 昭順:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科

【背景】
食道癌取り扱い規約第11版ではT4a食道癌は切除可能臓器への浸潤とされ,Stage IIIの扱いとなった.しかし,実臨床ではcT4aの診断や手術時の浸潤部の切除範囲など,問題が多く,理論上はStage IIIではあるが,その真の病態に関しては不明な点が多い.
【目的】
当院で経験したpT4a食道癌の治療成績を検討し,その病態を明らかにする.
【対象と方法】
当院で2001-2014年までに根治術を行い,pT4aと診断した13例を対象とし,retrospectiveに検討した.根治術に関しては当院で行っているキャンサーボードにて決定された.また,本検討でのStagingは食道癌取り扱い規約第11版に基づいた.
【結果】
男性11例,女性2例,年齢中央値は68歳(54-76).治療前診断はcT3が12例,cT2が1例.リンパ節転移はN0 2例,N1 4例,N2 5例,N3 2例,全例Stage III.浸潤臓器は横隔膜が7例,心嚢が3例,胸膜1例,肺2例.R0は7例,R1は5例,R2は1例で左肺への浸潤であった.R0 症例の7例中4例は術前補助療法を,2例は術後,1例は術前後に行い,術前後の補助療法を2例に施行せず.R1症例の5例全例に何らかの補助療法を行い,3例に術前,術後は4例に施行した.転帰はR0症例7例中4例(57%)に再発を認め,原病死は2例.原病死の2例とも術前後の補助療法を行ったが生存期間は221,230日と予後不良だった.再発臓器はリンパ節2例,肝臓1例,肺1例,胸膜播種1例.R1症例5例は全例再発を認め,全例原病死.うち4例の生存期間は6か月前後と非常に予後不良であった.R2症例1例は原病死であり,生存期間は913日,再発臓器は胸膜播種.術前治療,術後治療は行わなかった.長期予後は,全生存期間が初回治療日からの生存期間中央値(MST)が335日(221-3060),5年生存率(5生率)は50%.根治度別では,R0症例のMSTが3060日,5生率が70%であるのに対して,R1症例では272日,20%であった.
【まとめ】
本検討ではT4a食道癌の予後は5生率50%とStage III相当の成績であったが,R1症例にかぎるとMSTは1年にも満たず,予後不良であった.また,術前後の補助療法は予後に影響はしなかった.pT4a症例はR0手術が重要な予後因子になることが予測され,R0 を目指すための術前治療が重要であることが示唆された.
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