演題

胃切既往のある胸部食道癌の腹部リンパ節転移の検討 ~残胃全摘の省略は許容されるか~

[演者] 加藤 寛章:1
[著者] 白石 治:1, 岩間 密:1, 平木 洋子:1, 安田 篤:1, 新海 政幸:1, 今野 元博:1, 木村 豊:1, 今本 治彦:1, 安田 卓司:1
1:近畿大学附属病院 外科(上部消化管外科)

【はじめに】幽門側胃切除の既往がある食道癌に対しては,腹部領域リンパ節郭清を伴う残胃全摘を行うのが一般的であるが,食道切除,残胃全摘,腸管再建,血管吻合を伴う長時間にわたる高侵襲手術であり,高齢・高リスク患者に対しては,侵襲の低減も求められる.侵襲低減の方法として残胃全摘の回避が一法として考えられるが,胃切除後は領域のリンパ流の変化により,胸部食道癌の腹部リンパ節転移状況が通常と変化する可能性があり,その詳細は不明である.
【目的】胃切既往食道癌の腹部リンパ節転移状況を明らかにし,侵襲の低減を目的とした残胃全摘の省略が許容できるかを後方視的に検討した.
【対象と方法】2003年1月から2016年10月までに幽門側胃切除既往のある胸部食道癌患者に対し根治手術を施行した40例を対象とし,腹部リンパ節転移状況と,胃切既往の原因疾患(良性潰瘍もしくは胃癌),食道原発巣位置,進達度との相関を検討した.
【結果】胃切既往は40例中21例が良性潰瘍に対する単純幽門側胃切除,19例が胃癌に対する郭清(基本的に#1,3,4sb,4d,5,6,7,8a,9,11pリンパ節郭清)を伴う幽門側胃切除であった.食道癌手術の際は40例全例で残胃全摘を併施した.病理学的腹部リンパ節転移は40例中9例認めており,潰瘍既往群では33.3%(7/21),胃癌既往群では10.5%(2/19)(#1:1例,#2:1例)と潰瘍既往群に多い傾向であった.原発巣位置では,Ut:0%(0/2),Mt:23.8%(5/21),Lt:23.5%(4/17),深達度ではcT1b:13.3%(2/15),cT2:12.5%(1/8),cT3:38.5%(5/13),cT4:50%(1/2)で腹部リンパ節転移を認めた.
【結語】Mt以下の症例は,進達度,cN,胃切既往の原因に関わらず,基本的に郭清を伴う残胃全摘を,根治性の確保のため標準として施行すべきである.Ut腫瘍は症例によっては残胃全摘省略が許容される可能性はあるが,今後の症例の集積による検討が必要である.
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