演題

局所進行下部直腸癌に対する術前短期化学放射線療法を用いた個別化治療戦略

[演者] 別府 直仁:1
[著者] 一瀬 規子:1, 中島 隆善:1, 吉江 秀範:1, 仲本 嘉彦:1, 生田 真一:1, 木村 文彦:1, 相原 司:1, 柳 秀憲:1, 山中 若樹:1
1:明和病院 外科

はじめに; ①切除可能(T3N0-1)局所進行下部直腸癌と②切除境界もしくは切除不能(T4 or N2)局所進行下部直腸癌では局所制御率,遠隔転移再発率とも大きく異なり,術前療法の個別化が議論されている.我々は短期術前化学放射線療法を軸とした個別化治療戦略を行っており,その治療成績を提示する.
方法;①切除可能例(2007年~2016年);139例に対して術前短期化学放射線療法(25Gy/10fraction/5days+S-1 or Xeroda))を施行,②切除境界または不能例;2011年まで術前長期化学放射線療法(45Gy/25fraction/+S-1+CPT-11)を施行していたが,遠隔転移再発が高率(5yr-RFS; 51%)であったため2012年より治療方針を見直し,全身化学療法を併用したinduction chemotherapy(SOX±c-mab)+短期化学放射線療法(25Gy/10fraction+S-1)にレジメンを変更し32例施行した.
結果;①切除可能例;T down staging; 47%, ypN0; 68%, pCR rate; 7%, 5-yr LFS; 94%, RFS; 85%, OS; 90%, 肛門温存率; 90%であった.縫合不全率7%,周術期死亡率0.7%と良好な成績であった.②切除境界または不能例;T down staging; 70%, ypN0; 70%, 肛門温存率93%, pCR rate; 10%であった.また10mm以上の側方リンパ節腫大12症例は病側側方郭清を追加した.腫瘍学的成績は3-yr LFS; 83%, RFS; 68%, OS; 80%であり,2011年まで行っていた長期化学放射線療法の成績(3-yr LFS; 81%, RFS; 51%, OS; 74%)より良好な遠隔転移制御率であった.
結語;切除可能症例に対する術前短期化学放射線療法後の根治手術は良好な局所,遠隔制御率および安全性が確認できた.一方,切除境界または切除不能例に対するinduction chemotherapy+短期化学放射線療法は,full doseでの化学療法を先行して行うことで,潜在的遠隔転移巣に対する治療を根治手術に先行して行うことができ,遠隔再発が高率な高度進行直腸癌に対して有用な治療レジメンである可能性が示唆された.また,局所病理学的治療効果に関しても長期化学放射線療法と同等の効果が確認できた.
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