演題

食道癌壁内転移の臨床病理学的検討

[演者] 内原 智幸:1
[著者] 馬場 祥史:1, 吉田 直矢:1, 八木 泰佑:1, 中村 健一:1, 澤山 浩:1, 石本 崇胤:1, 岩槻 政晃:1, 坂本 快郎:1, 馬場 秀夫:1
1:熊本大学大学院 消化器外科学

≪はじめに≫
食道癌で壁内転移を認める症例は一般に予後不良とされており,治療方針の決定は慎重に行う必要がある.しかし,壁内転移症例の臨床病理学的特徴は充分に解明されていない.

≪対象と方法≫
2005年4月から2014年12月までに食道癌に対して外科的切除を施行した538例をretrospectiveに検討し,術後病理標本で壁内転移を認めた症例の臨床病理学的特徴を明らかにした.

≪結果≫
538例のうち15例(2.4%)で病理学的に壁内転移を認めた.14例が男性,1例が女性で,年齢は平均65.5歳(52-76歳)であった.原発巣の占拠部位は胸部上部2例(13%),中部8例(53%),下部5例(33%)であった.壁内転移個数は1個10例(66.6%),2~3個3例(20%),4個以上1例(6.7%),不明1例で,壁内転移位置は主病変の口側に6例(40%),肛門側に6例(40%),同レベルに1例(6.7%),両側(口側と肛門側)に1例(6.7%)であった.肉眼型はtype0:5例(33%),1:3例(20%),2:4例(27%),3:2例(13%),4:1例(6.7%).cStageはStageI:1例(6.7%),II:6例(40%),III:8例(53%)であった.術前治療として,1例に化学放射線療法を,7例に化学療法が施行されていた.組織型は全例扁平上皮癌であったが,高分化型1例(6.7%),中分化型7例(47%),低分化型4例(27%),評価不能3例(20%)と,中~低分化が多かった(p<0.05).14例(93%)でリンパ管または脈管浸潤を認め,12例(80%)でリンパ節転移陽性であった.壁内転移を有する症例では,壁内転移を有さない症例に比して有意に全生存期間が短かった[log-rank P=0.027, ハザード比:2.1(95%信頼区間 0.99-3.89)].
≪まとめ≫
壁内転移を有する食道癌切除例は,多くが中下部食道に原発巣を有し,組織型は中~低分化型扁平上皮癌が多かった.ほとんどの症例でリンパ節転移,リンパ管・脈管浸潤を認めた.壁内転移を有する症例は有意に予後不良であり治療方針を決定する際には十分な検討が必要である.
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