演題

cT1b食道癌における診断能の問題

[演者] 三浦 昭順:1
[著者] 千葉 哲磨:1, 鈴木 邦士:1, 松井 俊大:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科

【背景】cT1b食道癌はリンパ節転移陰性かつT1b-SM1で内視鏡切除,SM2以深で手術療法,リンパ節転移が陽性であればStage IIで術前化学療法が推奨される.このように診断で治療方針が大きく変わるため,実臨床ではcT1b食道癌における治療方針の決定に苦慮することが少なくない.
【目的】cT1b食道癌の臨床経過を検討し,診断の問題点,注意点などを明らかにする.
【対象】当院で2014年までにcT1b食道癌と診断し,手術を施行した199例中,術前化学療法を施行せず,病理学的に検討が可能であった139例を対象とした.
【結果】男性/女性=122/17.年齢中央値は62(38-83)歳.占拠部位はUt/Mt/Lt=19/84/36.肉眼型は0-I/0-II/0-III=54/74/11.cStageはI/II=107/32.病理学的検討では深達度はT1a/T1b/T2 =32/92/15,正診率は93例66%.リンパ節転移に関しては,cN0/pN0=107/77,cN1/pN1=32/24,cN0の正診率は72.0%,cN1は75.0%,深達度,リンパ節転移をあわせた正診率は63例45.3%.最終pStageは0/I/II/III=29/53/50/7.深達度に関してcT1bと診断し,pT1aであった症例に関しては平均周在(%)/平均横径(mm)/平均長径(mm)で検討するとpT1b=60.2/31.4/42.7,pT1a=72.3(p=0.06)/59(p=0.44)/50(p=0.18)と,pT1aはpT1bと比べ病変が大きい傾向にあり,特に周在は有意に高値であった.また,pT2=59.6(p=0.55)/37.5(p=0.25)/45.9(p=0.65)と,pT1bと有意差は認めなかった.また,cN0と診断し,pN(+)であったものは107例中30例であったが,特に3,106rLが6例,2,106rR が5例と多い傾向にあり,最高リンパ節転移個数は4個までであった.長期予後は全生存期間の5年生存率(%)はpStage 0/I/II/III=91/78/55/48であった.
【結語】治療技術の進歩によりとくに,cT1b食道癌と診断しても侵襲度の低い治療を選択することが可能になったが,本検討ではStage別の正診率は45%と高いものではなく,半分以上が適切な治療を選択できなかった可能性があった.深達度に関しては特に大きい病変で浅く深達度を読む傾向にあった.適切な治療選択をする上でも診断能の向上は必要であり,そのためには内視鏡切除などの正確な診断もこの領域では必要である可能性が示された.
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