演題

80歳以上の食道癌症例に対する外科治療成績

[演者] 的野 吾:1
[著者] 田中 寿明:1, 森 直樹:1, 日野 東洋:1, 西田 良介:1, 最所 公平:1, 門屋 一貴:1, 赤木 由人:1
1:久留米大学 外科学講座

【背景・目的】高齢者食道癌患者は様々な基礎疾患を有し,全身状態が低下した症例も多く,その手術適応は手術侵襲と治療効果のバランスを考慮する必要がある.当院で施行した80歳以上の食道癌切除症例における臨床的特徴,手術成績,予後,手術の意義について検討する.
【対象】1996~2014年に食道癌手術を施行した710例中,80歳以上の症例 18例(2.5%)を対象とした.
【結果】年齢中央値 83(80~87)歳,男性/女性=15例/3例だった.主占居部位はMt/Lt/Ae=3例/10例/5例で,術前深達度はcT1b/cT3/cT4=2例/14例/2例で,リンパ節転移はcN0/cN1/cN2/cN3=10例/4例/3例/1例だった.術前リスクは,肺活量中央値:2.8(1.9~3.6)L,1秒量中央値:1.9(1.3~2.7)L,ICG15分中央値:19(6~28)%,CCr:62(29~98)mL/minだった.16例に通過障害を認めた.手術は4例に二期分割で右開胸食道切除・再建術,14例に左開胸開腹下部食道噴門切除・再建術を施行し,全例R0切除だった.術後合併症は6例(33%)に認め,内訳は呼吸器合併症5例(2例が気管切開),縫合不全2例だった.経口摂取は全例可能となった.病理学的深達度はpT1b/pT2/pT3/pT4=2例/2例/11例/3例で,リンパ節転移はpN0/pN1/pN2=9例/5例/4例で,リンパ節郭清個数中央値は24(11~110)個だった.再発は6例(33%)に認め,術後より再発までの期間の中央値は8.2(4.7~10.6)か月だった.再発部位は,頸部縦隔リンパ節 4例,腹部リンパ節 1例,他臓器転移 4例だった(重複あり).全症例の生存期間中央値は34.8(6.7~121)か月,5年生存率46.7%だった.転帰は,生存 6例(33%),食道癌死 5例(28%),他病死 6例(33%),他癌死 1例(6%)だった.
【まとめ】高齢者では手術の根治性も必要であるが,侵襲が過大にならないように局所を確実にコントロールする手術に主眼をおく必要がある.手術で通過障害の改善効果が得られ,予後も比較的良好であるため手術の意義はあると考えられた.
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