演題

高齢者食道癌患者における術後管理の現状

[演者] 鈴木 邦士:1
[著者] 三浦 昭順:1, 松井 俊大:1, 千葉 哲磨:1, 加藤 剛:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科

【背景】近年,本邦も高齢化が進み,食道癌患者においても高齢者の割合が増加している.しかし,食道癌の根治術は鏡視下手術が普及したものの依然として侵襲度が高く,そのため術後管理はより重要な課題となっている.近年Enhanced recovery after surgery(ERAS)の概念が応用され術後より早期に回復を目指すプログラムが用いられているが,高齢者にも当てはめてよいのかどうかはかは依然として疑問が残るところである.
【目的】当院で用いている食道癌術後のERASに基づいたクリニカルパスが,高齢者に対して安全かつ有効かどうかを検討する.
【対象と方法】 2016年9月までに当院で根治術を行い,クリニカルパスを用いた術後管理を行った427例,75歳以上の60例と75歳未満の367例を対象とした.またERASに基づいたクリニカルパスを2015年2月から導入したが,75歳以上の高齢者と75歳未満の若年者を導入前後に分類して検討した.
【結果】年齢中央値は導入前後ともに77歳,男女比は導入前で男/女=45/7,導入後で6/2.cStage は導入前で0/I/II/III/IVa=2/9/13/25/3,導入後で1/0/2/5/0であった.導入前後での総入院日数,術前・術後在院日数の検討では,平均値(日)は導入前で47.7(17-237),17.4(4-121),31.2(11-215)であり,導入後では36.9(15-83)(p=0.466),8.3(4-15)(p=0.223),29.6(12-79)(p=0.896)と導入後で短い傾向にあったが有意差はなかった.
一方,若年者でみると導入前後での総入院日数,術前・術後在院日数の平均値(日)は導入前313例で38.6(16-611),12.3(3-105),27.3(11-605)であったのに対し,導入後54例では24.9(14-105)(p=0.022)1,8.4(3-33) (p=0.223),17.4(11-73)(p=0.016)と総入院日数,術後入院日数は有意に短縮した.
【結論】ERASに基づいたクリニカルパスを食道癌術後に導入したが,若年者では有意に入院日数の短縮を認めた.高齢者では入院日数の短縮した傾向は認めたが,有意な所見は得られなかった.今後はさらなる検討を行い,高齢者におけるクリニカルパスの工夫や導入を検討していく必要があると思われた.
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